下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成18年 問4

【問 4】 A、B及びCが、持分を各3分の1として甲土地を共有している場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 甲土地全体がDによって不法に占有されている場合、Aは単独でDに対して、甲土地の明渡しを請求できる。

2 甲土地全体がEによって不法に占有されている場合、Aは単独でEに対して、Eの不法占有によってA、B及びCに生じた損害全額の賠償を請求できる。

3 共有物たる甲土地の分割について共有者間に協議が調わず、裁判所に分割請求がなされた場合、裁判所は、特段の事情があれば、甲土地全体をAの所有とし、AからB及びCに対し持分の価格を賠償させる方法により分割することができる。

4 Aが死亡し、相続人の不存在が確定した場合、Aの持分は、民法第958条の3の特別縁故者に対する財産分与の対象となるが、当該財産分与がなされない場合はB及びCに帰属する。

【解答及び解説】

【問 4】 正解 2

1 正しい。共有者の一人が、不法占拠者に対して妨害排除請求をすることは、保存行為とされ(判例)、各共有者が単独で行うことができる。
*民法252条

2 誤り。共有物が不法占拠者によって占拠されている場合の損害賠償請求は、各共有者が自己の持分についてのみ行うことができ、他の共有者の分の損害賠償請求を行うことはできない(判例)。

3 正しい。共有物の分割は、共有者の協議によって行うのが原則であるが、共有者間の協議が整わない場合には、裁判所に分割請求をすることができる。この裁判上の分割の方法の一つとして、裁判所は、共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法により、共有物の分割を命ずることができる。したがって、問題文のような分割も可能である。
*民法258条2項2号

4 正しい。共有者の一人が死亡して相続人がないときは、特別縁故者に対する財産分与の対象となるが、財産分与がなされない場合は、その持分は、他の共有者に帰属する。
*民法255条


【解法のポイント】肢3は少し難しいが、それ以外の肢は、共有の問題としては、基本的な問題です。宅建試験は基本的な問題をいかに確実に正解するのかが重要です。