下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成18年 問3

【問 3】 Aは、Bとの間で、A所有の山林の売却について買主のあっせんを依頼し、その売買契約が締結され履行に至ったとき、売買代金の2%の報酬を支払う旨の停止条件付きの報酬契約を締結した。この契約において他に特段の合意はない。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 あっせん期間が長期間に及んだことを理由として、Bが報酬の一部前払を要求してきても、Aには報酬を支払う義務はない。

2 Bがあっせんした買主Cとの間でAが当該山林の売買契約を締結しても、売買代金が支払われる前にAが第三者Dとの間で当該山林の売買契約を締結して履行してしまえば、Bの報酬請求権は効力を生ずることはない。

3 停止条件付きの報酬契約締結の時点で、既にAが第三者Eとの間で当該山林の売買契約を締結して履行も完了していた場合には、Bの報酬請求権が効力を生ずることはない。

4 当該山林の売買契約が締結されていない時点であっても、Bは停止条件付きの報酬請求権を第三者Fに譲渡することができる。

【解答及び解説】

【問 3】 正解 2

1 正しい。本問は、停止条件付きの報酬契約であり、停止条件付きの契約は、条件が成就したときに契約の効力は発生する。したがって、あっせん期間が長期間に及んだとしても、契約が締結され条件が成就したといえるまでは、Bは報酬の前払いを請求することはできない。
*民法127条1項

2 誤り。条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。本問では、売買契約が締結され「履行に至った」ときに、条件が成就し、報酬請求権が発生する。したがって、AがDとの間で売買契約を締結し履行した場合は、Bは条件が成就したものとみなして、Aに対して報酬を請求することができる。
*民法130条

3 正しい。本問の停止条件付きの報酬契約は、すでにAE間で売買契約を締結し履行も完了しているので、その締結の時点で不能である。このような不能の停止条件を付した法律行為は、無効となる。したがって、Bの報酬請求権が効力を生ずることはない。
*民法133条1項

4 正しい。条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分し、相続し、若しくは保存し、又はそのために担保を供することができる。したがって、Bは本問の報酬請求権を第三者に譲渡することができる。
*民法129条


【解法のテクニック】本問は、問題文を読んで戸惑った方もおられるかと思います。「あっせん」という言葉で、代理とか、委任のことが頭に浮かんだ方もいるかと思いますが、各肢を読んでいけば分かる通り、「停止条件」に関する問題です。問題文でも「停止条件」付きの報酬「契約」となっていますので、普通の停止条件付き契約として、解答すればいいわけです。そして、停止条件に関する問題は、過去に2度ほど出題があったと思います。やっぱり過去問は重要です。