下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
宅建 過去問解説 平成17年 問2
【問 2】 AがBに対し土地の売却の意思表示をしたが、その意思表示は錯誤によるものであった。この場合、次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 錯誤が、売却の意思表示の内容の重要な部分に関するものであり、法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要な錯誤と認められる場合であっても、この売却の意思表示が取り消されることはない。
2 錯誤が、売却の意思表示をなすについての動機に関するものであり、それを当該意思表示の内容としてAがBに対して表示した場合であっても、この売却の意思表示が取り消しうべきものとなることはない。
3 AがBに対し土地の売却の意思表示をしたが、その意思表示は錯誤によるものであった。錯誤を理由としてこの売却の意思表示が取り消しうべきものとなる場合、意思表示者であるAに重過失があるときは、Aは原則として自らその取消しを主張することができない。
4 錯誤を理由としてこの売却の意思表示を取り消せる場合、意思表示者であるAがその錯誤を認めていないときは、Bはこの売却の意思表示の取消しを主張できる。
【解答及び解説】
【問 2】 正解 3
1 誤り。錯誤による意思表示は、意思表示の目的及び取引上の社会通念に照らして重要な錯誤があり、表意者に重大な過失がなければ、取り消すことができる。
*民法95条1項
2 誤り。動機の錯誤(表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤)も、その動機が表示され意思表示の内容となっているときは、錯誤の規定が適用され、取り消しうべきものとなる場合がある。
*民法95条2項
3 正しい。表意者が、錯誤による取消しを主張するには、原則として表意者に重大な過失がないことが要件となっている。
*民法95条3項
4 誤り。錯誤による取消しは、錯誤による意思表示をした表意者を保護するための規定であるから、表意者であるAが錯誤を認めていないときは、相手方から、錯誤による取消しを主張することはできない。
*民法95条
【解法のポイント】意思表示の問題で、錯誤にポイントを絞った問題です。難易度的には、正解肢の肢3が基本的なものだったので、簡単だったと思いますが、肢2の動機の錯誤、肢4の無効の主張者の問題も確認しておいて下さい。