下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成16年 問23

【問 23】 宅地造成等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問における都道府県知事とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市、特例市にあってはその長をいうものとする。

1 宅地を宅地以外の土地にするために行う土地の形質の変更は、宅地造成に該当しない。

2 都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事についての許可に、当該工事の施行に伴う災害の防止その他良好な都市環境の形成のために必要と認める場合にあっては、条件を付することができる。

3 宅地以外の土地を宅地にするための切土であって、当該切土を行う土地の面積が400㎡であり、かつ、高さが1mのがけを生ずることとなる土地の形質の変更は、宅地造成に該当しない。

4 宅地以外の土地を宅地にするための盛土であって、当該盛土を行う土地の面積が1,000㎡であり、かつ、高さが80cmのがけを生ずることとなる土地の形質の変更は、宅地造成に該当する。

【解答及び解説】

【問 23】 正解 2

1 正しい。宅地造成等規制法は、宅地造成に伴うがけくずれ又は土砂の流出を防止するものであり、宅地を宅地以外の土地にするために行う土地の形質の変更は、宅地造成に該当しない。
*宅地造成等規制法2条2項

2 誤り。宅地造成工事規制区域内において行なわれる宅地造成に関する工事についての許可に、工事の施行に伴う災害を防止するため必要な条件を附することができる。この条件を附するについては、「良好な都市環境の形成のために必要」というのは考慮しない。肢1で述べたように、宅地造成等規制法は、宅地造成に伴うがけくずれ又は土砂の流出を防止するものであり、災害の防止という観点はあるが、良好な都市環境の形成という趣旨はないからである。
*宅地造成等規制法8条3項

3 正しい。切土をした土地の部分に高さが2mをこえるがけを生ずることとなるものは、地の形質の変更にあたるが、これに該当しない切土であっても、当該切土又は盛土をする土地の面積が500㎡をこえるものは、土地の形質の変更にあたる。しかし、本肢では「切土を行う土地の面積が400㎡であり、かつ、高さが1mのがけを生ずることとなるものであるから、「宅地造成」に該当せず、都道府県知事の許可を要しない。
*宅地造成等規制法2条2号、宅地造成等規制法施行令3条1号・4号

4 正しい。盛土の場合は、「盛土をした土地の部分に高さが1mをこえるがけを生ずることとなるもの」が土地の形質の変更になるが、本肢はこれに該当しない。しかし、盛土を行う土地の面積が1,000㎡であり、500㎡を超えるので、当該の土地の形質の変更は宅地造成に該当する。
*宅地造成等規制法2条2号、宅地造成等規制法施行令3条2号・4号


【解法のポイント】私は、この問題の正解肢の肢2を見たときは、驚きましたね。今までの宅建の法令上の制限の問題では、立法趣旨そのものが問われた問題というのは、私の記憶にありません。実は、その後別の年度でこの立法趣旨が問われた問題が再度出題されています。みなさんが勉強されるときは、立法趣旨を押さえてから、各法を勉強した方が頭に入りやすいので、私はそれを講義などでも説明していましたが、そのものが出題されるとは思っていませんでした。いずれにしろ、立法趣旨を押さえてから、各法の勉強に入った方が、個別の制度も暗記しやすいので、そのような勉強を心掛けて下さい。