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宅建 過去問解説 平成16年 問22

【問 22】 土地区画整理法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 土地区画整理事業の施行地区内においては、土地区画整理法第76条の規定により、一定の建築行為等について、国土交通大臣又は都道府県知事等の許可を必要とする規制がなされるが、仮換地における当該建築行為等については、仮換地の換地予定地的な性格にかんがみ、当該規制の対象外となっている。

2 土地区画整理法による建築行為等の規制に違反して建築された建築物等については、施行者は、事業の施行のため必要となったときは、いつでも移転又は除却をすることができる。

3 仮換地指定の結果、使用し、又は収益する者のなくなった従前の宅地についても、従前の宅地に関する所有権は残るので、施行者は、土地区画整理事業の工事を行うためには、当該従前の宅地の所有者の同意を得なければならない。

4 組合施行の土地区画整理事業において、施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者は、すべてその組合の組合員となるので、当該宅地について事業施行中に組合員から所有権を取得した者は、当該組合の組合員となる。

【解答及び解説】

【問 22】 正解 4

1 誤り。土地区画整理事業の施行地区内において、一定の建築行為等は、国土交通大臣又は都道府県知事等の許可を必要とするが、これについて仮換地における建築行為については特に特例は定められておらず、原則どおり、国土交通大臣又は都道府県知事等の許可を必要とする。
*土地区画整理法76条1項

2 誤り。国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を得ず一定の建築行為を行い、又は建築行為の際に付した条件に違反した者がある場合においては、これらの者又はその承継人に対して、相当の期限を定めて、土地区画整理事業の施行に対する障害を排除するため必要な限度において、当該土地の原状回復を命じ、又は当該建築物その他の工作物若しくは物件の移転若しくは除却を命ずることができる。また、過失がなくてその移転又は除却等を命ずべき者を確知することができないときは、国土交通大臣又は都道府県知事は、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者にこれを行わせることができる。したがって、建築物等の移転又は除去を行うのは、当該違反者又はその承継人、もしくは許可をした国土交通大臣・都道府県知事又はその委任者等であり、施行者がいつでも移転又は除却をすることができるわけではない。
*土地区画整理法76条4項・5項

3 誤り。「仮換地指定の結果、使用し、又は収益する者のなくなった従前の宅地についても、従前の宅地に関する所有権は残る」という点は正しいが、だからといって当該従前の宅地で工事を行うために従前の宅地の所有者の同意が必要というわけではない。そもそも仮換地の指定は、土地区画整理事業の工事の必要性のために従前の宅地の使用・収益権を停止するために行うものである。したがって、従前の宅地について仮換地の指定がなされると、さらに従前の宅地の所有者の同意を得ることなく、施行者は、土地区画整理事業の工事を行うことができる。
*土地区画整理法80条

4 正しい。組合が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者は、すべてその組合の組合員とする。そして、施行地区内の宅地について組合員の有する所有権又は借地権の全部又は一部を承継した者がある場合においては、その組合員がその所有権又は借地権の全部又は一部について組合に対して有する権利義務は、その承継した者に移転する。したがって、当該宅地について事業施行中に組合員から所有権を取得した者は、当該組合の組合員となる。
*土地区画整理法25条1項、26条1項


【解法のポイント】土地区画整理法の問題は、なかなか難しいですよね。本問も肢2は初出題ではなかったかと思います。ただ、この問題は肢1と肢3はよく出題される問題です。肢4も、覚えておいて欲しい問題です。