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宅建 過去問解説 平成16年 問16

【問 16】 国土利用計画法第23条の届出(以下この問において「事後届出」という。)及び同法第27条の7の届出(以下この問において「事前届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 監視区域内の市街化調整区域に所在する面積6,000㎡の一団の土地について、所有者Aが当該土地を分割し、4,000㎡をBに、2,000㎡をCに売却する契約をB、Cと締結した場合、当該土地の売買契約についてA、B及びCは事前届出をする必要はない。

2 事後届出においては、土地の所有権移転後における土地利用目的について届け出ることとされているが、土地の売買価額については届け出る必要はない。

3 Dが所有する都市計画法第5条の2に規定する準都市計画区域内に所在する面積7,000㎡の土地について、Eに売却する契約を締結した場合、Eは事後届出をする必要がある。

4 Fが所有する市街化区域内に所在する面積4,500㎡の甲地とGが所有する市街化調整区域内に所在する面積5,500㎡の乙地を金銭の授受を伴わずに交換する契約を締結した場合、F、Gともに事後届出をする必要がある。

【解答及び解説】

【問 16】 正解 4

1 誤り。監視区域内では事前届出制がとられるが、事前届出制の場合、一つの土地を2つに分けて売却しても(これを「売りの一団」という)、物理的一体性と計画的一体性があれば「一団の土地」の売買とされ、2つの土地の面積を合わせて届出対象面積かどうかが判断される。したがって、本肢では6,000㎡の土地の取引となる。そして、注視区域では市街化調整区域では5,000㎡が届出対象面積となり、監視区域では都道府県知事がこれより少ない面積で届出対象面積を定める。ゆえに、6,000㎡ではどの監視区域でも届出対象面積に達している。そして、事前届出制では土地売買等の届出は「当事者」が届け出ることになり、また、本肢のように土地を2つに分割して売却した場合は、両方の取引に届出が必要となる。
*国土利用計画法27条の7第1項

2 誤り。事後届出においても、「土地の利用目的」とともに「対価の額」を届け出なければならない。注意しなければならないのは、この両方を届け出なければならないが、勧告の対象となるのは「利用目的」についてだけだということである。
*国土利用計画法23条1項5号・6号

3 誤り。事後届出が必要な届出対象面積は、市街化区域では2,000㎡、市街化区域以外の都市計画区域では5,000㎡、都市計画区域以外では10,000㎡となる。そして、準都市計画区域は都市計画区域以外の区域に定められるので(都市計画法5条の2第1項)、10,000㎡以上の土地取引について届出が必要となる。したがって、本肢では届出は不要である。
*国土利用計画法23条2項1号

4 正しい。3肢で説明したように、市街化区域では2,000㎡、市街化区域以外の都市計画区域では5,000㎡の土地取引に届出が必要であるが、甲地と乙地はその要件を満たしている。そして、事後取引では権利取得者が届出義務を負うが、交換契約の場合は交換の対象となった双方の土地の所有権の移転を伴い、それぞれが対価たる性質を有するので、双方の土地について届出が必要となるので、F、Gともに事後届出をする必要がある。
*国土利用計画法23条1項、14条1項


【解法のポイント】この問題は基本的な問題です。こういう問題にいかに確実に正解を出すかが、最終的な合否の分かれ目です。難しい問題にばかり気を取られていてはダメです。