宅建 過去問解説 平成15年 問47
【じっくり解説】
二重価格表示というのは、過去の販売価格を比較対照価格とする価格の表示方法です。「旧価格4,000万円→新価格3,000万円」というような表示です。これは過去の販売価格(高い価格、4,000万円)を表示しておくことにより、同じ値段でも安く見えるわけです。このような二重価格表示は基本的に禁止されます。
しかし、一定の場合には、例外が認められ、二重価格表示が認められます。試験では、この二重価格表示が認められる「一定の要件」については、それほど細かいことはまでは問われていません。この点について「土地」や「中古住宅」について、一定の要件があれば、二重価格表示も認められる、と覚えておいて下さい。
一応先ほどの過去問の解説を行うと、正解は「誤り」で、「事業者は、原則として二重価格表示をすることはできない。ただ、一定の要件を満たせば、中古住宅でも二重価格表示は可能であり、「建築後1年未満のもの」というような制限はない。」ということになります。
宅建試験の勉強をされている方は、ここまでで十分だと思います。念のため、以下に法改正の内容に触れながら、解説を追加しておきますので、どうしても気になる方のみ読んでみて下さい。
従来の二重価格表示の規定は、
(旧価格を比較対照価格とする二重価格表示)
第14条 旧価格(値下げの3か月以上前に公表された価格であって、かつ、値下げ前3か月以上にわたり実際に販売していた価格)を比較対照価格とする二重価格表示は、次に掲げる要件のすべてに適合し、かつ、実際に、当該期間、当該価格で販売していたことを資料により客観的に明らかにすることができる場合を除き、規約第20条において禁止する不当な二重価格表示に該当するものとする。
(1) 旧価格の公表時期及び値下げの時期を明示したものであること。
(2) 値下げの時期から6か月以内に表示するものであること。
(3) 建築後2年以内の建物であって、居住の用に供されたことがない建物について行う表示であること。
というものでした。しかし、新規定は、細かい点は除いて、最後の(3)の部分に変更が加えられ、「土地(現況有姿分譲地を除く。)又は建物(共有制リゾートクラブ会員権を除く。)について行う表示であること。」となりました。つまり、従来は「建築後2年以内の建物であって、居住の用に供されたことがない建物」が二重価格表示の要件であったので、「居住の用に供されたことがない建物」すなわち新築住宅のみ二重価格表示が可能でした。しかし、新規定は「土地(現況有姿分譲地を除く。)又は建物(共有制リゾートクラブ会員権を除く。)」となっていますので、「土地」も一定の要件を満たせば二重価格表示が可能となりました。
それだけでなく、新規定は、「建物」としか書かれていないので、「中古住宅」についても一定の要件を満たせば、二重価格表示が可能となったわけです。最後に、改正後の新規定を紹介して終わります。
(過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示)
第13条 過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示は、次に掲げる要件のすべてに適合し、かつ、実際に、当該期間、当該価格で販売していたことを資料により客観的に明らかにすることができる場合を除き、規約第20条において禁止する不当な二重価格表示に該当するものとする。
(1) 過去の販売価格の公表時期及び値下げの時期を明示したものであること。
(2) 比較対照価格に用いる過去の販売価格は、値下げの3か月以上前に公表された価格であって、かつ、値下げ前3か月以上にわたり実際に販売のために公表していた価格であること。
(3) 値下げの時期から6か月以内に表示するものであること。
ただし、6か月以内であっても災害その他の事情により物件の価値に同一性が認められなくなった場合には、同一性が認められる時点までに限る。
(4) 土地(現況有姿分譲地を除く。)又は建物(共有制リゾートクラブ会員権を除く。)について行う表示であること。