下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成15年 問33

【問 33】 甲県知事の宅地建物取引士登録(以下この問において「登録」という。)を受けている宅地建物取引士Aに関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Aが破産者で復権を得ないものに該当することとなったときは、破産宣告を受けた日から30日以内にAの破産管財人が甲県知事にその旨を届け出なければならない。

2 Aは、乙県知事から事務の禁止処分を受けたが、乙県内に所在する宅地建物取引業者Bの事務所の業務に従事しているため、その禁止の期間が満了すれば、甲県知事を経由して、乙県知事に登録の移転の申請をすることができる。

3 Aが無免許営業等の禁止に関する宅地建物取引業法に違反して宅地建物取引業を営み、懲役1年、執行猶予3年及び罰金10万円の刑に処せられ、登録を消除されたとき、執行猶予期間が満了すれば、その翌日から登録を受けることができる。

4 Aが役員をしているC社が宅地建物取引業の免許を受けたにもかかわらず、営業保証金を供託せず免許が取り消された場合には、Aの登録は消除される。

【解答及び解説】

【問 33】 正解 2

1 誤り。宅地建物取引士が破産者で復権を得ないものに該当することになったときは、宅地建物取引士本人は、その日から30日以内に、その旨を当該登録をしている都道府県知事に届け出なければならない。破産管財人に届出義務があるわけではない。
*宅地建物取引業法21条2号

2 正しい。事務禁止の処分を受け、その禁止の期間が満了していないときは、登録の移転ができないが、事務禁止処分の期間が満了すれば、登録の移転をすることができる。
*宅地建物取引業法19条の2

3 誤り。本肢では、懲役には執行猶予がついているが、罰金刑には執行猶予はついていないので、「宅地建物取引業法に違反し罰金刑に処せられた」場合に該当するので、刑の執行が終了してから5年間は登録を受けることができない。

【じっくり解説】

この問題は、間違えた方が非常に多いと思います。問題文中に「執行猶予」という言葉があるので、「執行猶予期間の満了→翌日から免許可能」という流れで考えた人(ほとんどがそう考えたと思いますが…)は、「正しい」と判断したでしょう。

しかし、この問題には、一ひねりがありました。その執行猶予の部分の問題文を抜き取ってみますと、「懲役1年、執行猶予3年及び罰金10万円」となっています。ここにワナがあるわけです。

この文章は、「懲役1年、執行猶予3年」プラス「罰金10万円」と読みます。

つまり、懲役1年には執行猶予が付いているが、罰金10万円には執行猶予はついていません。そして、この罰金は、無免許営業等の禁止に関する宅地建物取引業法に違反したものであり、「宅地建物取引業法に違反して罰金」というのは、5年間免許を受けることができなくなります。「執行猶予期間が満了すれば、その翌日から登録を受けることができる」のではなく、罰金について執行が終わってから(罰金を支払ってから)5年間は免許を受けることができなくなります。

この問題は、行きつくところ、「懲役1年、執行猶予3年」プラス「罰金10万円」というふうに問題文を読めたかどうかに尽きますが、初めてこの問題を見てそれに気が付くというのは、事実上難しかったでしょう。しかし、一度出題されていますので、今後は気を付けて下さい。

*宅地建物取引業法18条1項5号の2

4 誤り。不正の手段により免許を取得した、業務停止処分事由に該当し情状が重い、業務停止処分に違反したことを理由に宅地建物取引業の免許を取り消された法人の役員であったものは、登録を消除される。しかし、営業保証金を供託しなかったことを理由に免許を取り消されても、その法人の役員の登録が消除されることはない。
*宅地建物取引業法68条の2第1項1号