下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成15年 問15

【問 15】 不動産登記に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 不動産の登記申請において、申請に必要な申請情報が提供されていない場合には、申請人が相当の期間内にこれを補正したときでも、登記官は、理由を付した決定をもって、当該申請を却下しなければならない。

2 抹消登記を申請する場合において、当該抹消される登記について登記上の利害関係を有する第三者があるときは、申請情報に併せて、当該第三者の承諾を証する当該第三者が作成した情報又は当該第三者に対抗することができる裁判があったことを証する情報を添付情報として提供しなければならない。

3 法改正により削除

4 登記原因を証する情報として執行力のある判決が添付されている場合でも、法律の規定により第三者の許可がなければ権利変動の効力を生じないとされているときは、別に当該第三者の許可を証する情報を提供しなければならない。

【解答及び解説】

【問 15】 正解 2

1 誤り。申請情報又はその提供の方法がこの法律に基づく命令又はその他の法令の規定により定められた方式に適合しないときは、原則として登記官は、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない。ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したときは、この限りでない。
*不動産登記法25条

2 正しい。権利に関する登記の抹消を申請する場合には、登記上の利害関係を有する第三者があるときは、当該第三者の承諾を証する当該第三者が作成した情報又は当該第三者に対抗することができる裁判があったことを証する情報を添付情報として提供しなければならない。

【じっくり解説】

これに関する条文は、まず不動産登記法68条です(本問とは関係のない部分は割愛しています。)。「権利に関する登記の抹消は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。」これに不動産登記令の条文も関係してきますが、とりあえずは、この条文について解説します。

ただ、この条文も、「何となく」正しいということが分かりそうな文章です。

登記の抹消は、登記上の利害関係を有する第三者がいれば、勝手に抹消してはいけないという当然のことを規定した条文です。

本条の「登記上の利害関係を有する第三者」とは、登記の抹消により損害を受けるか、受けるおそれがある者を指し、この第三者の利益を保護するためです。

たとえば、地上権の登記の抹消の場合において、当該地上権を目的とする抵当権を設定した抵当権者などです。このときに、地上権を抹消してしまうと、抵当権者は抵当権の目的を失ってしまいます。

ただ、本問の問題文は、不動産登記法68条の条文より若干複雑になっていますが、それは添付情報に関する不動産登記令の規定も含めて文章にしているからです。

不動産登記令別表26項ヘによると、権利に関する登記の抹消には、添付情報として「登記上の利害関係を有する第三者があるときは、当該第三者の承諾を証する当該第三者が作成した情報又は当該第三者に対抗することができる裁判があったことを証する情報」を提供する必要があると規定されています。

これはあまり難しく考える必要はなく、登記上の利害関係を有する第三者の承諾が必要である以上、添付情報としてその承諾を証する情報が必要だと考えてもらえれば結構です。

なお、本問は類題として、「権利の登記」一般の話ではなく、「所有権の登記」の抹消という形で、平成5年にも出題されています。過去問は繰り返されます。

ということで、本日の問題の正解は「正しい」というのが結論です。

*不動産登記法令別表26項ヘ

3 法改正により削除

4 誤り。登記原因について第三者の許可を要するときは、原則として当該第三者が許可したことを証する情報を提供しなければならない。しかし、確定判決による登記を申請するときは、執行力のある確定判決の判決書の正本をその申請情報と併せて登記所に提供すれば、第三者の許可を証する情報を提供しなくてもよい。
*不動産登記法令7条1項5号ロ(1)


【解法のポイント】肢4は難しいかもしれませんが、肢2は基本的な問題です。