下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成15年 問9

【問 9】 同時履行の関係に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 動産売買契約における目的物引渡債務と代金支払債務とは、同時履行の関係に立つ。

2 目的物の引渡しを要する請負契約における目的物引渡債務と報酬支払債務とは、同時履行の関係に立つ。

3 貸金債務の弁済と当該債務の担保のために経由された抵当権設定登記の抹消登記手続とは、同時履行の関係に立つ。

4 売買契約が詐欺を理由として有効に取り消された場合における当事者双方の原状回復義務は、同時履行の関係に立つ。

【解答及び解説】

【問 9】 正解 3

1 正しい。同時履行の抗弁権は当事者の公平の観点から認められる場合で、本肢は典型的な同時履行の抗弁権が成立する場合である。
*民法533条

2 正しい。請負契約の場合、仕事の完成義務と報酬支払債務とは、仕事の完成義務が先履行の関係に立つが、注文者の報酬の確保のため、目的物引渡債務と目的物引渡債務は同時履行の関係に立つ。
*民法633条

3 誤り。抵当権には附従性が認められており、被担保債権が消滅すると抵当権も消滅する。したがって、被担保債権が消滅してはじめて、抵当権の消滅が認められるため、貸金債務の弁済と抵当権設定登記の抹消登記手続は、貸金債務の弁済が先履行の関係にある。
*民法369条

4 正しい。売買契約が取り消された場合における当事者双方の原状回復義務は、解除の場合の原状回復義務と同様、同時履行の関係が認められている。
*判例、民法546条参照


【解法のポイント】この年の問題は、まとめをするのに適している問題が多いですね。本問の事例に付け加える形で、同時履行が認められる場合、認められない場合をまとめてみるといいでしょう。