下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成14年 問10

【問 10】 Aが、A所有の不動産の売買をBに対して委任する場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、A及びBは宅地建物取引業者ではないものとする。

1 不動産のような高価な財産の売買を委任する場合には、AはBに対して委任状を交付しないと、委任契約は成立しない。

2 Bは、委任契約をする際、有償の合意をしない限り、報酬の請求をすることができないが、委任事務のために使った費用とその利息は、Aに請求することができる。

3 Bが当該物件の価格の調査など善良なる管理者の注意義務を怠ったため、不動産売買についてAに損害が生じたとしても、報酬の合意をしていない以上、AはBに対して賠償の請求をすることができない。

4 委任はいつでも解除することができるから、有償の合意があり、売買契約成立寸前にAが理由なく解除してBに不利益を与えたときでも、BはAに対して損害賠償を請求することはできない。

【解答及び解説】

【問 10】 正解 2

1 誤り。委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。したがって、委任契約は当事者の合意があれば成立し、委任状の交付は必ずしも必要ではない。
*民法643条

2 正しい。受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。ただ、受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。
*民法648条1項、650条1項

3 誤り。肢2で述べたように、委任契約は原則として無償契約であるが、たとえ無償の場合であっても、受任は善管注意義務を負い、善管注意義務に違反すると委任者は受任者に対して損害賠償の請求をすることができる。
*民法644条

4 誤り。委任は、各当事者がいつでも理由なく、その解除をすることができるが、当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。
*民法651条


【解法のポイント】本問は、全肢とも委任契約についての必須の知識です。必ず確認しておいて下さい。