下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成14年 問6

【問 6】 Aは、Bに対する貸付金債権の担保のために、当該貸付金債権額にほぼ見合う評価額を有するB所有の更地である甲土地に抵当権を設定し、その旨の登記をした。その後、Bはこの土地上に乙建物を築造し、自己所有とした。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。

1 Aは、Bに対し、乙建物の築造行為は、甲土地に対するAの抵当権を侵害する行為であるとして、乙建物の収去を求めることができる。

2 Bが、甲土地及び乙建物の双方につき、Cのために抵当権を設定して、その旨の登記をした後(甲土地についてはAの後順位)、Aの抵当権が実行されるとき、乙建物のために法定地上権が成立する。

3 Bが、乙建物築造後、甲土地についてのみ、Dのために抵当権を設定して、その旨の登記をした場合(甲土地についてはAの後順位)、Aの抵当権及び被担保債権が存続している状態で、Dの抵当権が実行されるとき、乙建物のために法定地上権が成立する。

4 Aは、乙建物に抵当権を設定していなくても、甲土地とともに乙建物を競売することができるが、優先弁済権は甲土地の代金についてのみ行使できる。

【解答及び解説】

【問 6】 正解 4

1 誤り。抵当権者は、債務者の抵当目的物に対する使用を認めた上で、債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。したがって、Aは、Bの建物築造行為に対して、抵当権侵害を理由として、建物の収去を求めることはできない。
*民法369条1項

2 誤り。本問では、Aは更地に抵当権を設定しており、「土地及びその上に建物が存すること」という法定地上権の成立要件を満たしていない。なお、この法定地上権の要件は、第1順位の抵当権設定時を基準とする。
*民法388条

3 誤り。肢2の解説で述べたように、第1順位の抵当権設定時を基準とすると、法定地上権の要件を満たしていないので、法定地上権は成立しない。
*民法388条

4 正しい。Aは、更地に抵当権を設定した後に、抵当地上に建物を築造していることから、甲土地及び乙建物を一括競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。
*民法389条


【解法のポイント】本問は、肢2と肢3は「???」という人でも、正解は肢4だということは分かったと思います。こういう問題も多いので、自分で確信の持てる肢で勝負して下さい。