下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
宅建 過去問解説 平成14年 問4
【問 4】 Aは、自己所有の甲土地の一部につき、通行目的で、隣地乙土地の便益に供する通行地役権設定契約(地役権の付従性について別段の定めはない。)を、乙土地所有者Bと締結した。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
1 この通行地役権の設定登記をしないまま、Aが、甲土地をCに譲渡し、所有権移転登記を経由した場合、Cは、通路として継続的に使用されていることが客観的に明らかであり、かつ、通行地役権があることを知っていたときでも、Bに対して、常にこの通行地役権を否定できる。
2 この通行地役権の設定登記を行った後、Bが、乙土地をDに譲渡し、乙土地の所有権移転登記を経由した場合、Dは、この通行地役権が自己に移転したことをAに対して主張できる。
3 Bは、この通行地役権を、乙土地と分離して、単独で第三者に売却することができる。
4 Bが、契約で認められた部分ではない甲土地の部分を、継続に行使し、かつ、外形上認識することができる形で、乙土地の通行の便益のために利用していた場合でも、契約で認められていない部分については、通行地役権を時効取得することはできない。
【解答及び解説】
【問 4】 正解 2
1 誤り。地役権が未登記でも、承役地が譲渡された場合、承役地の譲受人が、承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることが客観的に明らかであり、譲受人がそのことを認識していたか、または認識することが可能であれば、譲受人は、通行地役権を否定することができない(判例)。
2 正しい。地役権は、要役地の所有権に従たるものとして、その所有権とともに移転するものとされる。
*民法281条1項
3 誤り。地役権は、要役地から分離して譲り渡すことができない。
*民法281条2項
4 誤り。地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
*民法283条
【解法のポイント】肢1は、判例の問題で知らなくても仕方がないでしょう。ただ、肢2~肢4は、地役権の基本的な内容です。