下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成13年 問6

【問 6】 契約当事者が死亡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 委任契約において、委任者又は受任者が死亡した場合、委任契約は終了する。

2 使用貸借契約において、貸主又は借主が死亡した場合、使用貸借契約は効力を失う。

3 組合契約において、組合員が死亡した場合、当該組合員は組合契約から脱退する。

4 定期贈与契約(定期の給付を目的とする贈与契約)において、贈与者又は受贈者が死亡した場合、定期贈与契約は効力を失う。

【解答及び解説】

【問 6】 正解 2

1 正しい。委任者又は受任者の死亡は、委任契約の終了事由である。
*民法653条1号

2 誤り。使用貸借契約においては、借主が死亡した場合は、使用貸借契約は効力を失うが、貸主が死亡した場合には効力を失わない。
*民法599条

3 正しい。組合員は、死亡によって組合契約から脱退する。

【じっくり解説】

組合契約とは、そもそもどういう契約かということですが、「各当事者が出資をして共同の事業を営む」ものです。通常の契約と異なるのは、3人以上で結成する場合は、各組合員が相互に他の組合員に対して債務を負う関係になります。

具体的にどんな目的で組合を作るのか、ということですが、これは特に制限はありません。公益・私益、営利・非営利などを問いません。

したがって、少人数で集まって商売を始めるような私益・営利のような場合もありますし、各自資金を拠出して自然保護のための啓蒙活動を行うような公益目的でもかまいません。

さて、本問ですが、これは複雑な問題ではありません。組合の脱退事由を問う問題です。

組合の脱退事由は、民法679条に規定があります。

組合員は、次に掲げる事由によって脱退する。
一 死亡
二 破産手続開始の決定を受けたこと。
三 後見開始の審判を受けたこと。
四 除名

本問の組合員の死亡というのは、脱退事由に該当します。したがって、本問は「正しい」ということになります。

死亡が脱退事由とされているということは、組合員の地位は相続されないということになります。組合員の地位が相続されるとすると、当初の組合員と異なる相続人が組合員に加わることになるので、組合員相互間の信頼関係が破壊される可能性があるからです。

*民法679条1号

4 正しい。定期の給付を目的とする贈与は、贈与者又は受贈者の死亡によって、その効力を失う。
*民法552条


【解法のポイント】これはちょっとビックリした人も多かったと思います。しかし、肢3と肢4は手に負えなかった人でも、肢1の委任契約と、肢2の使用貸借契約については、過去に何回か出題されているので、必ずまとめておいて下さい。正解は出せる問題です。