下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成13年 問1

【問 1】 A・B・Cが、持分を6・2・2の割合とする建物の共有をしている場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 Aが、B、Cに無断で、この建物を自己の所有としてDに売却した場合は、その売買契約は有効であるが、B・Cの持分については、他人の権利の売買となる。

2 Bが、その持分に基づいて単独でこの建物全部を使用している場合は、A・Cは、Bに対して、理由を明らかにすることなく当然に、その明渡しを求めることができる。

3 この建物をEが不法占有している場合には、B・Cは単独でEに明渡しを求めることはできないが、Aなら明渡しを求めることができる。

4 裁判による共有物の分割では、Aに建物を取得させ、AからB・Cに対して適正価格で賠償させる方法によることは許されない。

【解答及び解説】

【問 1】 正解 1

1 正しい。AはB、Cの持分については無理者となるので、当該建物を自己の所有として売却すれば、他人物売買となり、売買契約自体は有効であるが、Dに対して担保責任を負うことがある。
*民法560条

2 誤り。本肢の場合、A・CがBに「明け渡し」を求めるということは、Bに出て行ってもらうということになる。しかし、各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。したがって、Bは持分に応じてではあるが、建物全部を使用する権利を有しているので、Bに対して理由を明らかにすることなく、当然に明渡しを求めることはできない。
*民法249条

3 誤り。不法占拠者に対する明渡し請求は、保存行為に該当し(判例)、各共有者は単独で明渡しを請求することができる。
*民法252条

4 誤り。裁判所は、共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法により、共有物の分割を命ずることができる。したがって、問題文のような方法も認められる。
*民法258条2項2号


【解法のポイント】この問題は、肢1と肢4は、そんなに簡単な問題ではないと思いますが、肢1は他人物売買になるということが問題文に書いてあるし、肢4も条文にはありませんが、このような方法も不都合はないということは理解できると思います。