下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成12年 問10

【問 10】 被相続人A、相続人B及びC(いずれもAの子)として、Aが遺言をし、又はしようとする場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 Aは、遺言をもって、第三者Dに遺言執行者の指定を委託することができる。

2 Aは、「Aの財産をすべてBに遺贈する。CはBに対して遺留分侵害額の請求をしてはならない」旨の遺言をして、CをAの相続から排除することができる。

3 Aが、「Aの甲土地をBに相続させる」旨の遺言をした場合で、その後甲土地を第三者Eに売却し、登記を移転したとき、その遺言は撤回されたものとみなされる。

4 Aは、「Aの乙建物をCに相続させる」旨の遺言をした場合で、Bの遺留分を害しないとき、これをC単独の所有に帰属させることができる。

【解答及び解説】

【問 10】 正解 2

1 正しい。遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
*民法1006条

2 誤り。遺留分侵害額請求権は、遺言によってその権利を排除することはできない。したがって、本肢遺言は効力を生じない。
*民法1046条

3 正しい。遺言が遺言後の生前処分と抵触するときは、その抵触する部分については、その生前処分で前の遺言を撤回したものとみなす。したがって、Aが甲土地を売却することにより、遺言は撤回したものとみなされる。
*民法1023条2項

4 正しい。Bの遺留分を侵害していない以上、本肢の遺言は有効である。その結果、乙建物はCの単独所有となる。


【解法のポイント】肢1は、ちょっと?かもしれないけど、肢2は、「誤り」ではないかと推測がつくと思います。こんな遺言を認めたら、遺留分を認めた意味がなくなります。肢3は覚えておいて下さい。肢4は遺留分を侵害していない以上、普通の遺言です。