下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成12年 問9

【問 9】 Aが、Bに対する金銭債務について、代物弁済をする場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 Aが、不動産の所有権をもって代物弁済の目的とする場合、Bへの所有権移転登記その他第三者に対する対抗要件を具備するため必要な行為を完了しなければ、弁済としての効力は生じない。

2 Aの提供する不動産の価格が1,000万円で、Bに対する金銭債務が950万円である場合、AB間で清算の取決めをしなければ、代物弁済はできない。

3 Aが、Bに対する金銭債務の弁済に代えて、Cに対するAの金銭債権を譲渡する場合に、その金銭債権の弁済期が未到来のものであるときは、弁済としての効力は生じない。

4 Bは、Aから代物弁済として不動産の所有権の移転を受けた後は、その不動産に瑕疵があっても、Aの責任を追及することはできない。

【解答及び解説】

【問 9】 正解 1

1 正しい。弁済者が、債権者との間で、債務者の負担した給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の契約をした場合において、その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する。そして、この「他の給付」は所有権移転登記その他第三者に対する対抗要件を備えていることが必要である(判例)。
*民法482条

2 誤り。代物弁済としてなされた給付と、本来の給付の価格は同じである必要はなく、価格が異なる場合でも清算の取決めをしなければ代物弁済ができないというわけではない(判例)。
*民法482条

3 誤り。代物弁済の目的は、不動産などの物だけでなく、債権でもよい。そして、代物弁済として金銭債権を譲渡する場合、その金銭債権は弁済期未到来のものでもよい(判例)。
*民法482条

4 誤り。代物弁済の法的性質は、「契約」である。そして、売買に関する規定は他の有償契約にも準用されるので、代物弁済契約にも契約不適合責任の規定が準用される。
*民法559条


【解法のポイント】この問題は知らなければ解けない問題だと思います。ただ、肢1は再度の出題の可能性があると思います。これはしっかり覚えておいて下さい。そして、肢4ですが、代物弁済は「契約」だというのも覚えておいて下さい。法令上の制限のところの国土利用計画法で、代物弁済契約も「契約」である以上、国土利用計画法の届出が必要だ、というところでも出てきます。