下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成12年 問6

【問 6】 Aが、Bに対して有する金銭債権をCに譲渡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 譲渡通知は、AがBに対してしなければならないが、CがAの代埋人としてBに対して通知しても差し支えない。

2 Bが譲渡を承諾する相手方は、A又はCのいずれでも差し支えない。

3 Aが、CとDとに二重譲渡し、それぞれについて譲渡通知をした場合で、Cに係る通知の確定日付はDに係るものより早いが、Bに対しては、Dに係る通知がCに係る通知より先に到達したとき、Dへの債権譲渡が優先する。

4 Bが、既にAに弁済していたのに、AのCに対する譲渡を異議を留めないで承諾した場合、Bは、弁済したことをCにもAにも主張することができない。

【解答及び解説】

【問 6】 正解 4

1 正しい。債権譲渡は、譲渡人が債務者に通知をすれば、債務者その他の第三者に対抗することができるが、債権の譲受人でも、譲渡人の代理人として通知することは認められる(判例)。
*民法467条1項

2 正しい。債権譲渡は、債務者が譲渡を承諾すれば、債務者その他の第三者に対抗することができるが、この承諾の相手方は、譲渡人・譲受人のいずれでもよい。
*民法467条1項

3 正しい。債権の二重譲渡がなされた場合、債権譲渡の通知は、確定日付のある証書によってした方が優先する。そして、二重譲渡の双方の譲受人に対する通知が確定日付による場合、確定日付ではなく、先に債務者に到達した方が優先する。
*民法467条2項

4 誤り。債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。したがって、BはAに対しても、Cに対しても弁済の事実を主張することができる。これは、Bの承諾が異議を留めないものであっても同様である。
*民法468条1項


【解法のポイント】肢4については、異議なき承諾をした場合、弁済等の事実を譲受人に対抗することはできない、ということは譲渡人には対抗できるということです。そうでないと譲渡人は、弁済を受けておきながら、勝手に債権を譲渡し、何のおとがめもないことになります。