下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成12年 問5

【問 5】 根抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 根抵当権は、根抵当権者が債務者に対して有する現在及び将来の債権をすべて担保するという内容で、設定することができる。

2 根抵当権の極度額は、いったん登記がされた後は、後順位担保権者その他の利害関係者の承諾を得た場合でも、増額することはできない。

3 登記された極度額が1億円の場合、根抵当権者は、元本1億円とそれに対する最後の2年分の利息及び損害金の合計額につき、優先弁済を主張できる。

4 根抵当権の被担保債権に属する個別の債権が、元本の確定前に、根抵当権者から第三者に譲渡された場合、その第三者は、当該根抵当権に基づく優先弁済を主張できない。

【解答及び解説】

【問 5】 正解 4

1 誤り。根抵当権の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない。したがって、「根抵当権者が債務者に対して有する現在及び将来の債権をすべて担保する」という内容の根抵当権を設定することはできない。
*民法398条の2第2項

2 誤り。根抵当権の極度額の変更は、利害関係を有する者の承諾を得れば行うことができる。
*民法398条の5

3 誤り。根抵当権者は、確定した元本及び利息の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。したがって、最後の2年分の利息及び損害金であっても、極度額を超えて優先弁済を主張することはできない。
*民法398条の3第1項

4 正しい。元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない。つまり、根抵当権においては、個々の債権と根抵当権の間の随伴性が否定されているのである。
*民法398条の7第1項


【解法のポイント】肢1から肢3までは、根抵当権についての基本的な理解ですので、しっかり押さえておいて下さい。肢4は、初めての出題ではないかと思いますが、もともと根抵当権は、一定の範囲に属する債権ではあれば、個々の債権との関係は弱く、個々の債権の附従性や随伴性はありません。