下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成11年 問45

【問 45】 宅地建物取引業者Aの宅地建物取引士Bが、甲県知事の宅地建物取引士資格試験に合格し、同知事の宅地建物取引士資格登録(以下この問において「登録」という。)を受けている場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 Bが甲県から乙県に転居しようとする場合、Bは、転居を理由として乙県知事に登録の移転を申請することができる。

2 Bが、事務禁止の処分を受けている間は、Aの商号に変更があった場合でも、Bは、変更の登録の申請を行うことはできない。

3 Bは、乙県知事への登録の移転を受けなくても、乙県に所在するAの事務所において専任の宅地建物取引士となることができる。

4 Bが乙県知事への登録の移転を受けた後、乙県知事に登録を消除され、再度登録を受けようとする場合、Bは、乙県知事に登録の申請をすることができる。

【解答及び解説】

【問 45】 正解 3

1 誤り。登録の移転は、他県の宅地建物取引業者の事務所の業務に従事し、又は従事しようとするときにできるものである。単に転居する場合は、変更の登録の問題である。
*宅地建物取引業法19条の2

2 誤り。宅地建物取引士の登録を受けている者が、宅地建物取引業者の業務に従事している場合、当該宅地建物取引業者の商号又は名称及び免許証番号に変更があれば、変更の登録を申請しなければならない。これは事務禁止処分を受けている場合でも同様である。事務禁止処分を受けているときに行うことができないのは、登録の移転である。
*宅地建物取引業法20条

3 正しい。専任の宅地建物取引士になるには、宅地建物取引士が勤務している事務所の所在地の都道府県知事の登録を受けている必要はなく、どの都道府県知事の登録でもよい。
*宅地建物取引業法31条の3第1項

4 誤り。試験に合格した者は、当該試験を行った都道府県知事の登録を受けることができる。これは、登録の移転を受けた後、一旦登録を消除され、再度登録を受ける場合も同様である。したがって、本肢では甲県知事に登録の申請をする。

【じっくり解説】

この問題に必要な条文は、宅建業法18条1項です。この条文は、何気なく読んでいると、「この条文は知っている!」となりそうなんですが、しっかり読んでいないと、この問題は解けないというのか、迷ってしまう問題です。なお、いつもそうしていますが、条文は、原文そのままというのは、みなさんにとって必要以上に難解になりますので、私の判断で適宜分かりやすく、かつ、試験には必要十分な範囲で手を加えています。

宅建業法18条1項「試験に合格した者で、宅地若しくは建物の取引に関し2年以上の実務の経験を有するもの又は国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものは、当該試験を行った都道府県知事の登録を受けることができる。」

この条文は、通常「2年の実務経験」がメインで出題されますが、本日の問題は、条文のちょっと違った部分にスポットが当たります。「当該試験を行った都道府県知事の登録」という文言(もんごん)です。つまり、宅地建物取引士の登録をする都道府県知事は、「試験を行った都道府県知事」です。これについては、宅建業法をいろいろ読んでみても、とくに例外というのは規定されていませんので、すべて「試験を行った都道府県知事」一本です。

したがって、本日の問題は非常にシンプルに甲県で試験に合格しているので甲県知事の登録ということになります。よって、正解は「誤り」になります。

問題文では、登録の移転→登録の消除という事情が加わっているので「眼つぶし」が入っていますが、上記の説明で理解できたと思います。

*宅地建物取引業法18条1項


【解法のポイント】登録の移転と変更の登録は混乱しやすいので注意。肢4は、なかなか面白い問題です。