下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成11年 問6

【問 6】 AとBは、A所有の土地をBに売却する契約を締結し、その契約に「AがCからマンションを購入する契約を締結すること」を停止条件として付けた(仮登記の手続は行っていない。)場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 停止条件の成否未定の間は、AB間の契約の効力は生じていない。

2 AB間の契約締結後に土地の時価が下落したため、停止条件の成就により不利益を受けることとなったBが、AC間の契約の締結を故意に妨害した場合、Aは、当該停止条件が成就したものとみなすことができる。

3 停止条件の成否未定の間は、Aが当該A所有の土地をDに売却して所有権移転登記をしたとしても、Aは、Bに対して損害賠償義務を負うことはない。

4 停止条件の成否未定の間に、Bが死亡した場合、Bの相続人は、AB間の契約における買主としての地位を承継することができる。

【解答及び解説】

【問 6】 正解 3

1 正しい。停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。条件の成否未定の間は、効力を生じていない。
*民法127条1項

2 正しい。条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。
*民法130条

3 誤り。条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない。AがDに土地を売却し所有権移転登記をすれば、Bの利益を害することになるので、損害賠償義務を負うことがある。
*民法128条

4 正しい。条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の権利義務と同様に相続することができる。
*民法129条


【解法のポイント】本問は、停止条件に的を絞った問題で、当時の受験生はびっくりしたと思います。内容的には、民法の条文そのままの問題で、ただそれを事例にしているだけです。停止条件の成否が未定の間というのは、当事者は、その条件の成就について期待しています。その「期待」を権利として保護しようとしているのが、民法の条文ですので、その観点からもう一度問題を見ていくと理解できると思います。