下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成10年 問42

【問 42】 宅地の売買に関して宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 Aは、実在しない宅地について広告をすることができず、また、宅地が実在しても実際に取引する意思がない宅地について広告をすることができない。

2 AがBから宅地を購入するため交渉中であり、Aが購入後売主として売買するか、又は媒介してBの宅地を売買するか未定であるとき、Aは、取引態様の別を明示することなく、当該宅地の売買に関する広告をすることができる。

3 Aは、広告中の購入代金に関する融資のあっせんに関し、その融資の利息の利率についてアド・オン方式で表示したとき、その旨を明示したとしても、年利建ての実質金利を付記しなければ、広告をすることができない。

4 Aが、宅地建物取引業法第33条に規定する広告の開始時期の制限に違反した場合、甲県知事は、Aに対して必要な指示をすることができ、Aがその指示に従わないとき業務停止処分をすることができる。

【解答及び解説】

【問 42】 正解 2

1 正しい。実在しない物件や、実在しても実際に取引する意思のない物件は、「おとり広告」として誇大広告の禁止に違反する。
*宅地建物取引業法32条

2 誤り。宅地建物取引業者は、宅地の売買に関する広告をするときは、取引態様の別を明示しなければならないのであって、取引態様が未定であるからといって、その明示が不要となるわけではない。
*宅地建物取引業法34条1項

3 正しい。代金等に関する金銭の貸借のあっせんに関する事項についても、誇大広告の禁止の対象になり、実質金利を付記しないで、利息の利率についてアド・オン方式のみで表示すれば、誇大広告の禁止に違反する。
*宅地建物取引業法32条

4 正しい。広告の開始時期の制限に違反した場合は、指示処分の対象となり、指示処分に従わないときは業務停止処分事由になる。
*宅地建物取引業法65条1項・2項3号


【解法のポイント】肢3のアド・オン方式というのは、実質金利よりも低く表示されます。その計算の仕方までは、試験で問われていませんので気にする必要はありません。実質金利より低く表示されるものだ、と覚えておけば結構です。ただ、気を付けていただきたいのは、アド・オン方式の金利の表示自体は禁止されていないということです。アド・オン方式の表示をするときに、実質金利を併記しなければ宅地建物取引業法に違反しますが、逆にいうと、実質金利さえ併記していれば、アド・オン方式の金利の表示も可能です。肢4については、ちょっと気を付けて下さい。この問題は、単に宅地建物取引業法に違反すれば、どの条文に違反しても指示処分の対象となり、その指示処分に従わないときは業務停止処分になる、というのを覚えておけば対応できます。ただ、実は広告の開始時期の制限というのは、その規定に違反しても業務停止処分事由には該当しません。だから、問題では、指示処分→業務停止処分の流れで聞いているわけです。これはかなり意外で、宅地建物取引業法の重要な条文に違反した場合は、大抵は業務停止処分事由に該当します。広告の開始時期の制限というのも重要な条文で、当然これに違反すれば業務停止処分事由に該当しそうなんですが、そうではなく、指示処分事由にしか該当しません。理由はよく分かりませんが、気を付けておいて下さい。