宅建 過去問解説 平成10年 問19
【じっくり解説】
解答は、「×」ですが、「×届出」→「○許可」がその理由です。この「開発行為の変更」というのは、そんなに頻繁に出題される範囲ではありません。かといって、絶対出題されないという範囲でもありません。過去に複数回出題されています。したがって、なんとなく手薄になりそうなところですが、しっかり整理して覚えれば、そんな複雑なことはないので、この機会にしっかりまとめておいて、たまに出題されるときに備えておいた方がいいでしょう。
まず基本は、開発許可を申請して、一旦開発許可をもらうと、最初に申請した事項に変更があれば、再度「許可」をもらい直さなければいけません。これは、当然でしょう。開発許可は、最初の申請事項を前提に許可したわけですから、申請事項に変更があれば、その前提が崩れるからです。
ただ、法律には例外というのがあるんですね。ということを前提に、条文を見てみましょうか。
都市計画法第35条の2第1項(変更の許可等)です。
「開発許可を受けた者は、開発許可の申請書の記載事項の変更をしようとする場合においては、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、変更の許可の申請に係る開発行為が、開発許可が不要とされる開発行為又は国土交通省令で定める軽微な変更をしようとするときは、この限りでない。」
そして、本肢で問われているのは、「開発区域の区域を変更」ということですから、これは開発許可の申請事項です。「開発区域」が開発許可の申請書の記載事項であるということは、分かるでしょう。どこで、開発行為を行うか分からないようでは、開発許可を下しようがありません。ということで、本問の解答は都道府県知事の「許可」が必要であり、「届出」では足りないということになります。
本問の解答としては、以上の説明で十分だと思いますが、本日はちょっと発展させて見ましょう。これは、私の知る限り本試験では出題されていないと思いますが、出題される可能性は十分あります。
実は、この条文には第3項というのもあります。
「開発許可を受けた者は、変更の許可が不要である軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。」
第1項で、基本的に開発許可の申請書の記載事項の変更をしようとする場合は、都道府県知事の許可が必要であるが、
- 開発許可が不要とされる開発行為
- 軽微な変更
については、変更の許可をもらう必要はないということです。そして、第3項で「軽微な変更」をしたときは、都道府県知事へ「届出」が必要だとしているわけです。つまり、変更の許可が必要な場合は2つありますが、そのうちの「軽微な変更」については、「届出」が必要としているということは、「開発許可が不要とされる開発行為」への変更は、「届出」は不要だということです。これは、当然でしょう、「開発許可が不要とされる開発行為」というのは、もともと開発許可自体が不要な場合ですから、「届出」も不要です。
ただ、軽微な変更については、「変更」自体は行われているわけですから、変更の許可まではいらないけれども、「届出」くらいはして下さい、ということです。
実は、本日の問題は、開発区域の区域を変更した場合に都道府県知事に「届出」が必要だとしていますが、これは単純によく本試験でひっかけられる「許可→届出」の間違いだけでなく、この軽微な変更の場合の「届出」のことも念頭に置いて出題されていると思われます。ここまで「読んで」解答できれば、カンペキですね。