下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成10年 問8

【問 8】 Aが、Bに建物を3,000万円で売却した場合の契約の解除に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 Aが定められた履行期に引渡しをしない場合、Bは、3,000万円の提供をしないで、Aに対して履行の催告をしたうえ契約を解除できる。

2 Bが建物の引渡しを受けて入居したが、2ヶ月経過後契約が解除された場合、Bは、Aに建物の返還とともに、2ヶ月分の使用料相当額を支払う必要がある。

3 Bが代金を支払った後Aが引渡しをしないうちに、Aの過失で建物が焼失した場合、Bは、Aに対し契約を解除して、代金の返還、その利息の支払い、引渡し不能による損害賠償の各請求をすることができる。

4 特約でBに留保された解除権の行使に期間の定めのない場合、Aが、Bに対し相当の期間内に解除するかどうか確答すべき旨を催告し、その期間内に解除の通知を受けなかったとき、Bは、契約を解除できなくなる。

【解答及び解説】

【問 8】 正解 1

1 誤り。債務不履行の一種である履行遅滞になるためには、履行しないことが違法であることが必要である。Bが3,000万円の提供をしないのであれば、Aには同時履行の抗弁権があるから、履行期に引渡しをしないことは適法になり、Bは催告をしても解除することはできない。
*民法541条

2 正しい。契約が解除されると、契約は遡及的に消滅し、契約がなかったことになるので、Bが2ヶ月間建物の使用をしていたのなら、それは法律上の原因がないのに使用したことになり、その分の使用料相当額を不当利得として返還しなければならない。
*民法545条1項

3 正しい。Aの責に帰すべき事由で履行不能に陥っているので、Bは契約を解除し、損害賠償の請求をすることができる。また、解除に伴う原状回復として代金の返還及び受領の時から利息の支払いを請求することができる。
*民法545条

4 正しい。解除権の行使について期間の定めがないときは、相手方は、解除権を有する者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に解除をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。その期間内に解除の通知を受けないときは、解除権は、消滅する。
*民法547条


【解法のポイント】債務不履行とか危険負担の問題は、民法らしい典型的な問題です。本試験でもよく問われていますので、ぬかりなく勉強しておいて下さい。