下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成10年 問6

【問 6】 AはBから建物を賃借し、Bの承諾を得て、当該建物をCに転貸している。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。なお、Aの支払うべき賃料の額は、Cの支払うべき転借料の額より小さいものとする。

1 AとBとが賃貸借契約を合意解除した場合、AC間の転貸借契約は、その前提を失うため、特別の事情のある場合を除き、当然に終了する。

2 Cは、Bから請求があれば、CがAに支払うべき転借料全額を直接Bに支払うべき義務を負う。

3 Bは、Aの債務不履行によりAB間の賃貸借契約を解除しようとする場合、Cに対して、3ヵ月以前に通知し、Aに代わって賃料を支払う機会を与えなければならない。

4 Bが、Aの債務不履行によりAB間の賃貸借契約を適法に解除した場合、Cは、AC間の転貸借契約に基づく転借権をBに対抗することができない。

【解答及び解説】

【問 6】 正解 4

1 誤り。AB間の賃貸借契約が、期間満了や解約申入れで終了した場合は、転貸借契約はその前提を失い終了するが、AB間の賃貸借契約が合意解除により終了した場合は、特別の事情がある場合を除き、転貸借契約は終了しない。
*民法613条3項

2 誤り。賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。したがって、本肢の場合、転借人は、賃借人が賃貸人に支払う賃料を支払えばよい。
*民法613条1項

3 誤り。Aに債務不履行がある以上、Bは相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。この場合、AはCに対して支払いの機会を与える必要はない(判例)。
*民法541条

4 正しい。AB間の賃貸借契約が債務不履行により解除された場合は、AC間の転貸借契約は終了し、Bは転借権をBに対抗することはできない。


【解法のポイント】肢1と肢4の違いに注意。肢1の原賃貸借の合意解除は、賃貸借の終了に賃貸人も関与しているが、原賃貸借が賃借人の債務不履行による解除の場合、賃貸人には責任はありません。