下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成10年 問5

【問 5】 Aは、Bから借金をし、Bの債権を担保するためにA所有の土地及びその上の建物に抵当権を設定した。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。

1 Bの抵当権の実行により、Cが建物、Dが土地を競落した場合、Dは、Cに対して土地の明渡しを請求することはできない。

2 Aは、抵当権設定の登記をした後も建物をEに賃貸することができ、Bに損害を及ぼすことなく期間3年以内の賃貸借でその登記があるとき、Eは、建物の競落人に対して賃借権を対抗できない。

3 Bは、第三者Fから借金をした場合、Aに対する抵当権をもって、さらにFの債権のための担保とすることができる。

4 Aから抵当権付きの土地及び建物を買い取ったGは、Bの抵当権の実行に対しては、自ら競落する以外にそれらの所有権を保持する方法はない。

【解答及び解説】

【問 5】 正解 4

1 正しい。土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、抵当権の実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす(法定地上権)。本肢では、この法定地上権が成立しているので、DはCに対して土地の明渡しを請求することはできない。
*民法388条

2 正しい。抵当権設定後も、Aは建物をEに賃貸することができるが、Bが先に抵当権設定登記を備えているので、その後の賃貸借は対抗要件を備えていても、建物の競落人に対抗することはできない。
*民法旧395条

3 正しい。抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とすることができる(転抵当)。
*民法376条1項

4 誤り。抵当不動産の譲受人は、抵当目的物の所有権を保持するには、自ら競売する以外に、代価弁済や抵当権消滅請求、また利害関係のある第三者として、被担保債権を弁済し、附従性により抵当権を消滅させ、抵当目的物を保持することができる。
*民法378条、379条


【解法のポイント】肢4は、工夫のある問題だと思います。この抵当不動産の譲受人の保護という観点から1問出題することもできますので、理由付けの3つの制度は確認しておいて下さい。