下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成9年 問10

【問 10】 遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 被相続人Aの配偶者BとAの弟Cのみが相続人であり、Aが他人Dに遺産全部を遺贈したとき、Bの遺留分は遺産の3/8、Cの遺留分は遺産の1/8である。

2 遺留分侵害額の請求は、訴えを提起しなくても、内容証明郵便による意思表示だけでもすることができる。

3 相続が開始して9年6ヵ月経過する日に、はじめて相続の開始と遺留分を害する遺贈のあったことを知った遺留分権利者は、6ヵ月以内であれば、遺留分侵害額の請求をすることができる。

4 被相続人Eの生前に、Eの子Fが家庭裁判所の許可を得て遺留分の放棄をした場合でも、Fは、Eが死亡したとき、その遺産を相続する権利を失わない。

【解答及び解説】

【問 10】 正解 1

1 誤り。兄弟姉妹には遺留分は認められていないので、Cの遺留分はなし、Bの遺留分は1/2となる。
*民法1028条

2 正しい。遺留分侵害額の請求は、特に訴えによるべき旨の規定はなく、裁判外でも行使することができる。
*民法1046条

3 正しい。遺留分侵害額請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年、相続開始の時から10年を経過すると時効によって消滅する。したがって、相続開始から9年6ヵ月が経過していれば、6ヵ月以内であれば、遺留分侵害額の請求をすることができる。
*民法1048条

4 正しい。遺留分の放棄は、相続の放棄とは別の制度なので、遺留分を放棄したからといって、相続する権利を失うことはない。
*民法1049条


【解法のポイント】遺留分というのは、宅建試験ではよく出題されます。本問の肢2は、ちょっと変った問題ですが、肢1・肢2・肢4は必須の論点です。