下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成8年 問39

【問 39】 甲県に本店を、乙県に支店を設けて国土交通大臣免許を受けている宅地建物取引業者Aは、甲県知事の宅地建物取引士資格登録(以下この問において「登録」という。)を受けている宅地建物取引士Bを本店の専任の宅地建物取引士として従事させている。この場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Aが商号又は名称を変更した場合には、Aはその旨を甲県知事を経由して国土交通大臣に届け出なければならず、Bは甲県知事に変更の登録を申請しなければならない。

2 Bが住所を変更した場合には、Aはその旨を甲県知事を経由して国土交通大臣に届け出なければならず、Bは甲県知事に変更の登録を申請しなければならない。

3 Bが支店の専任の宅地建物取引士になった場合には、Aはその旨を甲県知事を経由して国土交通大臣に届け出なければならず、Bは甲県知事に変更の登録を申請しなければならない。

4 Aが本店を廃止し、乙県内にのみ事務所を有することとなった場合には、Aは乙県知事を経由して国土交通大臣に免許換えの申請をしなければならないが、Bは乙県知事に登録の移転の申請をする必要はない。

【解答及び解説】

【問 39】 正解 1

1 正しい。宅地建物取引業者の商号又は名称は、宅地建物取引業者名簿の記載事項であり、また、宅地建物取引士の業務に従事する宅地建物取引業者の商号又は名称は、宅地建物取引士登録簿の記載事項でもあるので、Aは国土交通大臣に変更の届出を、Bは甲県知事に変更の登録を申請しなければならない。なお、宅地建物取引業者の変更の届出は、届出先が国土交通大臣の場合、主たる事務所の所在地の知事を経由して届け出ることになる。
*宅地建物取引業法9条、8条2項2号、78条の3第1項、20条、同法施行規則14条の2第1項5号

2 誤り。宅地建物取引業者名簿には、専任の宅地建物取引士の氏名は記載事項になっているが、住所は記載事項ではない。したがって、Aは変更の届出は不要である。なお、宅地建物取引士の住所は、宅地建物取引士登録簿の記載事項であるから、Bが変更の登録が必要であるという後半は正しい。
*宅地建物取引業法9条、8条2項6号、20条、18条2項

3 誤り。宅地建物取引業者名簿には、事務所ごとに置かれる専任の宅地建物取引士の氏名が記載事項になっているので、Bが本店の専任の宅地建物取引士から支店の専任の宅地建物取引士になった場合は、Aは甲県知事を経由して国土交通大臣に変更の届出をする必要がある。しかし、宅地建物取引士登録簿には、宅地建物取引士が業務に従事する宅地建物取引業者の商号等は記載事項になっているが、どの事務所で業務に従事しているかは記載事項になっていないので、業務に従事している宅地建物取引業者に変更がない限り、変更の届出は不要である。
*宅地建物取引業法9条、8条2項6号、78条の3第1項、20条、同法施行規則14条の2第1項5号

4 誤り。Aは、国土交通大臣免許から、乙県知事免許に変更になるわけであるから、乙県知事へ免許換えの申請をしなければならない。なお、宅地建物取引士の登録の移転は、任意の制度であるから、問題文の後半は正しい。
*宅地建物取引業法7条、19条の2


【解法のポイント】宅地建物取引業者名簿と宅地建物取引士登録簿の記載事項の問題は、変更の届出・変更の登録とからんで、よく出題されるわけですが、ややこしいですよね。本問の肢3も、難しい肢だと思いますよ。解説に書いてあるように、宅地建物取引業者名簿は「事務所ごと」に置かれる「専任」の宅地建物取引士の「氏名」が記載事項というふうに覚えておいて下さい。ポイントが3つあるんです。本肢にあるように、専任の宅地建物取引士の勤務する事務所が代われば変更の届出がいります。ただ、「専任」ではなく、一般の宅地建物取引士が変更になっても届出は不要です。また、宅地建物取引士の「氏名」は同じで、住所だけ変わった場合も、届出は不要になります。