下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成8年 問12

【問 12】 AがBに対してA所有の建物を期間を定めないで賃貸した場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 Aは、Bに対して、解約の申入れの日から6月を経過しないと建物の明渡しを請求することができない。

2 AがBに対し解約の申入れをしても、6月経過後のBの建物使用についてAが遅滞なく異議を述べないときは、契約は更新されたものとみなされる。

3 AがBに対し解約の申入れをするため必要な正当の事由は、解約の申入れ時に存在すれば足り、6月経過時には存在しなくてもよい。

4 AがBに対し解約の申入れをするため必要な正当の事由は、Aの自己使用の必要性のほかに、AがBに対し建物の明渡しの条件として金銭を支払う旨のAの申出をも考慮して判断される。

【解答及び解説】

【問 12】 正解 3

1 正しい。建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から6月を経過することによって終了する。なお、この解約申入れには、正当事由が必要となる。
*借地借家法27条1項

2 正しい。賃貸人が解約申入れをし6月を経過した後、建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされる。
*借地借家法27条2項

3 誤り。賃貸人の解約申入れのための正当事由は、解約申入れ時だけではなく、6ヵ月間正当事由が継続して存在することが必要とされる(判例)。したがって、6月経過後にも正当事由が存在している必要がある。
*借地借家法28条

4 正しい。建物の賃貸人による賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付(いわゆる立退料)をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
*借地借家法28条


【解法のテクニック】本問は、正解肢である肢3がなかなかの難問であるから、難しい問題といえるのではないかと思います。しかし、肢1・肢2・肢4が正しいことから、消去法で正解を出すことも可能です。