宅建 過去問解説 平成8年 問11

【問 11】 AがBに対し、A所有の建物を売り渡し、所有権移転登記を行ったが、まだ建物の引渡しはしていない場合で、代金の支払いと引換えに建物を引き渡す旨の約定があるときに関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 代金の支払い及び建物の引渡し前に、その建物が地震によって全壊したときは、BはAからの代金の支払いの請求を拒むことができない。

2 代金の支払い及び建物の引渡し前に、その建物の一部が地震によって損壊したときは、Bは、代金の額から損壊部分に見合う金額を減額した額を請求することができない。

3 法改正により削除

4 Bが代金の支払いを終え、建物の引渡しを求めたのにAが応じないでいる場合でも、建物が地震で全壊したときは、Bは、契約を解除して代金の返還を請求することができない。

【解答及び解説】

【問 11】 正解 なし

1 誤り。当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者(B)は、反対給付の履行を拒むことができる。
*民法536条1項

2 誤り。引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。本肢では、売買契約成立後、引渡し前に建物が一部損壊しているが、危険が移転するのは、引渡し時であり、本肢では代金減額請求をすることができる。
*民法563条

3 法改正により削除
*民法536条2項但書類推

4 誤り。Bは代金の支払いを終えているので、Aは建物の引渡しについて履行遅滞に陥っている。このように履行遅滞中に不可抗力により履行が不可能になったときは、債務者の責による履行不能となる(判例)。したがって、Bは契約を解除して代金の返還を請求することができる。
*民法413条の2


【法改正による変更】本来この問題は、肢3が正解でしたが、法改正により、肢3はあまり意味がなくなり削除したため、正解は「なし」となっています。