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下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成8年 問6

【問 6】 AがBとの請負契約によりBに建物を建築させてその所有者となり、その後Cに売却した。Cはこの建物をDに賃貸し、Dが建物を占有していたところ、この建物の建築の際におけるBの過失により生じた瑕疵により、その外壁の一部が剥離して落下し、通行人Eが重傷を負った。この場合の不法行為責任に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Aは、この建物の建築の際において注文又は指図に過失がなく、かつ、その瑕疵を過失なくして知らなかったときでも、Eに対して不法行為責任を負うことがある。

2 Bは、Aに対してこの建物の建築の請負契約に基づく債務不履行責任を負うことがあっても、Eに対して不法行為責任を負うことはない。

3 Cは、損害の発生を防止するため必要な注意をしていたときでも、瑕疵ある土地の工作物の所有者として、Eに対して不法行為責任を負うことがある。

4 Dは、損害の発生を防止するため必要な注意をしていたときでも、瑕疵ある土地の工作物の占有者として、Eに対して不法行為責任を負うことがある。

【解答及び解説】

【問 6】 正解 3

1 誤り。注文者は、注文又は指図について過失がなければ、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。また、土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならないが、Aは現在建物の所有者ではないので、この責任を負うこともなく、本肢では、AはEに対して不法行為責任を負うことはない。
*民法716条、717条1項

2 誤り。本問の建物の瑕疵は、Bの過失によるものであり、Bの過失によりEが損害を受けている以上、BはEに対して一般の不法行為責任を負う。
*民法709条

3 正しい。土地の工作物の所有者の責任は、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときに負わされる二次的な責任であるが、特に所有者に対しては免責事由は定められていないので、損害発生を防止するため必要な注意をしていたときでも負わされる無過失責任である。
*民法717条1項

4 誤り。肢3で述べたように、占有者は、損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者が無過失責任を負うので、占有者が責任を負うことはない。
*民法717条1項


【解法のポイント】土地の工作物責任は、何度が出題されている問題です。宅建試験である以上、工作物責任は、今後も出題されるものと思われます。マイナーな論点だと思って手を抜かないようにして下さい。