下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成8年 問4

【問 4】 AとBが、Cから土地を購入し、Cに対する代金債務については連帯して負担する契約を締結した場合で、AとBの共有持分及び代金債務の負担部分はそれぞれ1/2とする旨の約定があるときに関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 Cは、AとBに対して、同時に、それぞれ代金全額の支払いを請求することができる。

2 Cが、Aに対し代金の支払いを請求した場合、その効力はBには及ばない。

3 Cが、Aに対して代金債務の全額の免除をした場合でも、Bに対して代金全額の支払いを請求することができる。

4 Cが、本件売買契約を解除する意思表示をAに対してした場合、その効力はBにも及ぶ。

【解答及び解説】

【問 4】 正解 4

1 正しい。数人が連帯債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。したがって、CはAとBに対して、同時に代金全額の支払いを請求することができる。
*民法436条

2 正しい。連帯債務者の1人について生じた事由は、原則として他の連帯債務者に効力を及ぼさない(相対的効力の原則)。履行の請求は絶対的効力事由に該当せず、CのAに対する請求の効力は、Bには及ばない。
*民法441条

3 正しい。連帯債務者の1人について生じた事由は、原則として他の連帯債務者に効力を及ぼさない(相対的効力の原則)。免除は絶対的効力事由に該当せず、Cは、Bに対して代金全額の支払いを請求することができる。
*民法441条

4 誤り。当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみ、することができる(解除権不可分の原則)。したがって、Cが解除の意思表示をAに対してのみしても、その効力がBに及ぶことはない。
*民法544条1項


【解法のポイント】本問は、典型的な連帯債務の問題に、解除の問題を混ぜたもの。連帯債務は、絶対的効力をしっかり覚えているのが前提です。特に、肢3にも出てきますが、負担部分についてのみ絶対的効力が生じる「免除」と「時効」に注意して下さい。