下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成7年 問8

【問 8】 AがBに対して100万円の金銭債権、BがAに対して100万円の同種の債権を有する場合の相殺(AB間に特約はないものとする。)に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 Aの債権が時効によって消滅した後でも、時効完成前にBの債権と相殺適状にあれば、Aは、Bに対して相殺をすることができる。

2 Aの債権について弁済期の定めがなく、Aから履行の請求がないときは、Bは、Bの債権の弁済期が到来しても、相殺をすることができない。

3 Aの債権が、Bの悪意による不法行為によって発生したものであるときには、Bは、Bの債権をもって相殺をすることができない。

4 CがAの債権を差し押えた後、BがAに対する債権(差押え後の原因に基づいて生じたものとする。)を取得したときは、Bは、Aに対して相殺をすることができるが、それをもってCに対抗することはできない。

【解答及び解説】

【問 8】 正解 2

1 正しい。時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる。
*民法508条

2 誤り。自働債権が弁済期にあれば、受働債権は弁済期になくても、相殺することができる。受働債権については、相殺者は、期限の利益を放棄することができるからである(民法136条2項)。
*民法505条1項

3 正しい。債務が悪意による不法行為によって生じたときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。
*民法509条

4 正しい。支払の差止めを受けた第三債務者(本肢ではB)は、その後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができない。
*民法511条1項


【解法のポイント】本問は、相殺に関する基本的な条文の知識の問題で、確実に正解を出せる必要がある問題です。肢4は、少し細かい知識になりますが、その後にも本試験で出題されていますので、押さえておく必要があります。