下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成7年 問7

【問 7】 AがBの所有地を賃借して、建物を建てその登記をしている場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 Bがその土地をCに譲渡し、BC間の合意で賃貸人の地位を移転させようとする場合、賃貸人の義務の移転を伴うから、Bは、その譲渡についてAの承諾を必要とする。

2 Aがその建物をDに譲渡する場合、特別の事情のない限り、Aは、Dに対する敷地の賃借権譲渡についてBの承諾を得る必要がある。

3 EがBからその土地の譲渡を受けた場合、Eは、登記を移転していなくても賃貸人たる地位の取得をAに対抗することができる。

4 FがAからその建物を賃借する場合、特別の事情がない限り、Fは、その貸借についてBの承諾を得なければならない。

【解答及び解説】

【問 7】 正解 2

1 誤り。不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる。
民法605条の3

2 正しい。借地上の建物の譲渡は、必然的に借地権の譲渡を伴うことになる。したがって、原則的にAは借地権の譲渡について、Bの承諾を得る必要がある。
*民法612条1項

3 誤り。借地借家法10条の規定による賃貸借の対抗要件(借地上の登記ある建物)を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。そして、この賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。
*民法605条の2第1項・3項

4 誤り。借地上の建物の賃貸は、借地権の譲渡、賃借物の転貸を伴うものではない。したがって、建物の賃貸にBの承諾を得る必要はない。肢2との違いは、借地上の建物の「譲渡」か「賃貸」かの違いである。
*民法612条1項


【解法のポイント】肢2については、借地借家法に「地主の承諾に代わる裁判所の許可の制度」があるではないか、と考えた人もいるかと思いますが、「特別の事情がない限り」という言葉と、全体の問題文の中に、「民法の規定及び判例によれば」とあることから、ここでは借地借家法の規定を考慮する必要はありません。問題文を読んでいるときに、気になった方は、とりあえず保留しておいて、全部の肢を見ると、肢1・肢3・肢4は確実に誤りですから、肢2を正解にするべきです。