下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成7年 問3

【問 3】 AのBに対する債権(連帯保証人C)の時効の完成猶予及び更新に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 AがCに対して訴訟により弁済を求めた場合、Bの債務については、時効の完成猶予及び更新の効力が生じる。

2 AがBに対して訴訟により弁済を求めても、その訴えが却下された場合は、時効は更新しない。。

3 AがBに対して訴訟により弁済を求めた場合、Cの債務についても、時効の完成猶予及び更新の効力を生じる。

4 BがAに対して債務の承認をした場合、Bが被保佐人であって、保佐人の同意を得ていなくても、時効の更新の効力を生じる。

【解答及び解説】

【問 3】 正解 1

1 誤り。連帯保証人に対して生じた事由が、主たる債務者に影響を及ぼすかどうかについて、連帯債務の規定が準用されている。そして、連帯債務においては請求に絶対効はないので、連帯保証人に履行の請求をした場合は、主たる債務者に対して効力を及ぼさず、主たる債務の時効の完成猶予及び更新の効力は生じない。
*民法458条

2 正しい。裁判上の請求は、時効の完成猶予及び更新事由の一つであるが、訴えの却下又は取下げの場合には、時効の更新の効力を生じない。
*民法147条1項

3 正しい。連帯保証も「保証」であるから附従性がある。したがって、主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、連帯保証人に対しても、その効力を生ずる。
*民法457条1項

4 正しい。債務の承認というのは、すでに得た権利を放棄したり、新たに義務を負担したりする行為(「処分」)ではなく、単に相手方に対する権利の存在を認める行為(「管理」)である。そして、時効の更新の効力を生ずべき承認をするには、相手方の権利についての「処分」につき行為能力又は権限があることを要しない。被保佐人は、「処分」の能力又は権限を有しないが、「管理」の能力又は権限はあるので、被保佐人が、保佐人の同意なく行った債務の承認は、時効の更新の効力を生じる。
*民法152条2項


【解法のポイント】肢1から肢3までは、基本事項ですから、確実に理解して覚えておいて下さい。肢4は、普通の受験生にとっては、全然分からないでしょうね。あまり気にする必要はないでしょう。本問は肢1が正解ですから、基本事項だけで正解が出ます。