下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成6年 問49

【問 49】 次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 宅地建物取引士Aが宅地建物取引士証の有効期間満了前に都道府県知事の指定する講習を受けることができなくて、宅地建物取引士証の有効期間を更新することができなかった場合、Aは、その受講できなかったことに特別の事情があるとしても、当該有効期間満了後は、宅地建物取引士の業務を行うことはできない。

2 宅地建物取引士Bが不正の手段により宅地建物取引士資格試験を受験したとして、その合格を取り消され、登録を消除されたときは、Bは、その翌日重要事項説明をする約束があっても、その業務を行うことはできない。

3 宅地建物取引業者Cの免許の有効期間が満了した場合、Cが当該有効期間満了前に所定の免許の更新の申請をしていても、その申請についての処分がなされるまでの間、Cは、宅地建物取引業の業務を行うことはできない。

4 宅地建物取引業者Dが不正の手段により免許を取得したとして、その免許を取り消された場合でも、Dがその取消し前に締結した宅地の売買契約に基づき行う債務の履行については、宅地建物取引業法第12条の無免許事業の禁止規定に違反しない。

【解答及び解説】

【問 49】 正解 3

1 正しい。宅地建物取引士とは、宅地建物宅地建物取引士証の交付を受けた者をいうので、宅地建物取引士証を更新できなかった者は、宅地建物取引士ではなく、宅地建物取引士の業務を行なうことはできない。これについては、特に例外は定められていない。
*宅地建物取引業法31条の3第1項

2 正しい。肢1で述べたように、宅地建物取引士は、宅地建物取引士証の交付を受けた者であり、宅地建物取引士証は、宅地建物取引士の登録を受けている者が、その交付を申請することができる。したがって、登録を消除された者は、宅地建物取引士証の交付を受けることができず、宅地建物取引士ではなくなるので、宅地建物取引士としての業務を行なうことができない。
*宅地建物取引業法22条の2第1項

3 誤り。宅地建物取引業者の免許の更新の申請があった場合において、有効期間の満了の日までにその申請について処分がなされないときは、従前の免許は、有効期間の満了後もその処分がなされるまでの間は、なお効力を有する。したがって、宅地建物取引業の業務を行なうこともできる。
*宅地建物取引業法3条4項

4 正しい。宅地建物取引業者が、免許を取り消されたとき等は、当該宅地建物取引業者であった者又はその一般承継人は、当該宅地建物取引業者が締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内においては、なお宅地建物取引業者とみなす。宅地建物取引業者とみなされているので、この範囲においては無免許事業の禁止の規定に違反しない。
*宅地建物取引業法76条


【解法のポイント】本問は、宅地建物取引業者と宅地建物取引士のことを同時に聞いている面白い問題です。免許、登録、宅地建物取引士証の効力が失われている場合に、宅地建物取引業者の業務、宅地建物取引士としての事務ができるか、という観点から聞いています。宅地建物取引士が、その事務を行なうには、登録+宅地建物取引士証という2段階が必要ですが、宅地建物取引業者の場合は、免許があれば業務を行なうことができます。そして、宅地建物取引業者の場合は、免許の有効期間は5年ですが、宅地建物取引士の場合は、宅地建物取引業者の免許に相当する登録は一生有効ですが、宅地建物取引士証の有効期間が5年という形で、制限が出てきます。宅地建物取引業者の場合、宅地建物取引士の宅地建物取引士証に相当するのは、強いていえば免許証ということになるんでしょうが、これは業務を行なえるかどうかとは、直接関係がありません。

★ まとめ ~ 宅地建物取引業者の業務、宅地建物取引士の事務を行なう条件
宅地建物取引業者:免許(有効期間5年)
宅地建物取引士:登録(一生有効)+宅地建物取引士証(有効期間5年)