下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成6年 問29

【問 29】 居住用財産を譲渡した場合における譲渡所得の所得税の課税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 居住の用に供している家屋をその者の長男に譲渡した場合には、その長男がその者と生計を一にしているか否かに関係なく、その譲渡について、居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用を受けることができない。

2 居住の用に供していた家屋をその者が居住の用に供さなくなった日から2年を経過する日の翌日に譲渡した場合には、その譲渡について、居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用を受けることができない。

3 譲渡した年の1月1日における所有期間が7年である居住用財産を国に譲渡した場合には、その譲渡について、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けることができる。

4 譲渡した年の1月1日における居住期間が11年である居住用財産を譲渡した場合には、所有期間に関係なく、その譲渡について、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けることができる。

【解答及び解説】

【問 29】 正解 1

1 正しい。居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用については、当該個人の配偶者その他の当該個人と政令で定める「特別の関係がある者」に対してするものは適用が除外されている(租税特別措置法35条1項)。そして、その「特別の関係がある者」とは、直系血族というのが含まれている。したがって、長男に対する譲渡については、生計を一にしているか否かに関係なく、居住用財産の譲渡所得の特別控除は適用されない。
*租税特別措置法施行令23条2項

2 誤り。個人が、その居住の用に供している家屋等の譲渡をした場合、これらの家屋が当該個人の居住の用に供されなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間にした場合には、居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用を受けることができる。
*租税特別措置法35条1項

3 誤り。居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けるには、個人が、その有する土地等又は建物等でその年1月1日において所有期間が10年を超えるもののうち居住用財産に該当するものの譲渡をした場合でなければならない。本肢は所有期間が7年であり、同特例を受けることはできない。なお、同特例では国に譲渡した場合についての特段の定めはなされていない。
*租税特別措置法31条の3第1項

4 誤り。肢3の解説のとおり、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けるには、所有期間が10年を超えていなければならず、居住期間は関係ない。
*租税特別措置法31条の3第1項


【解法のポイント】肢1については、細かい問題だと思いますが、注意して下さい。配偶者及び直系血族に対する譲渡は適用除外とされており、このときには特に「生計を一にする」というような限定はついていません。「生計を一にする」という限定がついているのは、その他の親族の場合です。

★ まとめ ~ 譲渡所得の「居住用財産」の意義
以下の者に対する譲渡は適用除外
1.配偶者及び直系血族(生計を一にしている必要なし)
2.その他の親族(生計を一にしている必要あり)