下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
宅建 過去問解説 平成6年 問14
【問 14】 建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 共用部分は、区分所有者全員の共有の登記を行わなければ、第三者に対抗することができない。
2 敷地利用権が数人で有する所有権の場合、区分所有者は、規約に別段の定めがない限り、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して、処分することができる。
3 建物の管理に要する経費の負担については、規約で定めることができ、規約の設定は、区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数による集会の決議によってなされる。
4 建物の区分所有等に関する法律第62条の老朽による建替えの決議が集会においてなされた場合、当該決議に賛成しなかった区分所有者も、建替えに参加しなければならない。
【解答及び解説】
【問 14】 正解 3
1 誤り。共用部分は、法定共用部分と規約共用部分に分かれるが、法定共用部分については、構造上共用部分であることが明らかであるから、登記なく第三者に対抗することができる。これに対して、規約共用部分は、登記をしなければ共用部分であることを第三者に対抗できないが、この登記は、登記記録の表題部になされるのであり、区分所有者全員の共有の登記をするわけではない。したがって、法定共用部分・規約共用部分のいずれについても、それを第三者に対抗するために「区分所有者全員の共有の登記」を行う必要はない。
*区分所有法4条、不動産登記法44条1項6号
2 誤り。敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、規約に別段の定めがない限り、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。
*区分所有法22条1項
3 正しい。各共有者は、その持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。しかし、これは規約で別段の定めをすることができる。そして、規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議によってする。
*区分所有法19条、31条1項
4 誤り。建替え決議に賛成しなかった区分所有者も、建替えに参加することができるが、建替えへの参加が強制されるわけではない。建替えに不参加の区分所有者に対しては、区分所有権等の売渡請求権を行使して建替えを実行することになる。
*区分所有法63条
【解法のポイント】肢4が非常に理解しにくいところだと思いますが、区分所有法63条1項に「建替え決議があったときは、集会を招集した者は、遅滞なく、建替え決議に賛成しなかった区分所有者に対し、建替え決議の内容により建替えに参加するか否かを回答すべき旨を書面で催告しなければならない。」という規定があります。これは過去に宅建試験で出題されています。この規定は、建替え決議に賛成しなかったことと、建替えに参加することは別であることを意味しており、建替え決議に賛成しなかった者は、決議では反対したが、決議が4/5以上の多数で成立した以上、その決議にしたがって建替えに参加することもできる。また、建替え決議に賛成せず、建替えに参加しないということも可能である。そして、区分所有者(要するにマンションの住民)ではあるが、建替えに参加しない者がいる状態で、マンションを取り壊すということは、その参加しない区分所有者の財産をその者の意思に反して取り壊すということであり、これは認められない。したがって、建替えを実行しようとすれば、その参加しない区分所有者に区分所有建物の売渡請求権を行使して、不参加の区分所有者から区分所有建物を買い取り、マンション全体を建替えに参加する区分所有者のみにしてからでないと建替えはできない。分かりましたか?