下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
宅建 過去問解説 平成6年 問13
【問 13】 遺言に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 遣言に停止条件が付けられた場合、その条件が遺言者の死亡後成就しても、遺言の効力は生じない。
2 遺言は、家庭裁判所の検認の手続を経なければ、効力を生じない。
3 遺言の証人には、遺言者の長女の夫も、なることができる。
4 Aが公正証書で土地をBに遺贈すると遺言した場合でも、後に自筆証書でこれをCに遺贈すると遺言したときは、Bは、Aが死亡しても、当該土地の所有権を取得しない。
【解答及び解説】
【問 13】 正解 4
1 誤り。遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずるのが原則であるが、遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる。
*民法985条2項
2 誤り。検認とは遺言書の形式・態様などを確認して、その偽造変造を防止し、保存を確実にする目的でなされるものであり、遺言内容の真否や有効無効の判断をするものではない。したがって、検認の手続を経ない遺言も効力を生じる。また、公正証書遺言については、検認の手続自体が不要である。
*民法1004条
3 誤り。推定相続人の配偶者は、遺言の証人又は立会人となることができない。したがって、遺言者の長女は推定相続人であり、その配偶者である長女の夫は、遺言の証人になることはできない。
*民法974条2号
4 正しい。前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす(法定撤回)。これは前の遺言と後の遺言が異なる方式で作成されていても同じである。しがって、Bに対する遺贈は、後のCに対する遺贈で撤回されたものとみなされるので、Bは、Aが死亡しても当該土地の所有権を取得しない。
*民法1023条1項
【解法のポイント】肢2については、2点確認しておいて下さい。一つは、そもそも検認というのは、遺言の有効無効を判断する手続ではないということ。もう一つは、遺言の中でも公正証書遺言は検認の手続自体が不要であるということである。本問では、いずれの観点からも「誤り」の肢であるが、一つずつが聞かれた場合でも、答えられる必要があります。