下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
宅建 過去問解説 平成6年 問8
【問 8】 Aが建設業者Bに請け負わせて木造住宅を建築した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 Aの報酬支払義務とBの住宅引渡義務は、同時履行の関係に立つ。
2 Aは、住宅の引渡しを受けた場合において、その住宅に瑕疵があり、契約をした目的を達成することができない場合、引渡しを受けた後1年内であっても、その契約を解除することはできない。
3 Bが引き渡した住宅に瑕疵があるときは、Aは、当該瑕疵を知った時から1年以内にその旨をBに通知しなければ、Bに対してその瑕疵の責任を追及することはできない。
4 Bは、担保責任を負わないとする特約をAと結ぶこともできるが、その場合でも、Bが瑕疵の存在を知っていて、Aに告げなかったときは、免責されない。
【解答及び解説】
★ まとめ~請負契約における報酬支払時期
請負人の仕事の完成 ⇒ 先履行
↓
目的物の引渡し ⇒ 報酬支払いと同時履行
【問 8】 正解 2
1 正しい。請負人の報酬請求権を確保するため、注文者の報酬支払義務と請負人の引渡義務は同時履行の関係に立つ。
*民法633条
2 誤り。請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したときは、注文者は、契約の解除をすることができる。これは、建物の場合でも同様である。なお、解除権を行使するには、注文者がその不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しておく必要がある。
*民法564条
3 正しい。請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡した場合において、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をするには、注文者がその不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しなければならない。
*民法637条1項
4 正しい。請負人は、担保の責任を負わない旨の特約をすることができるが、瑕疵の存在を知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることができない。
*民法572条
【解法のポイント】請負契約の報酬は基本的に後払いになっていますが、この点と肢1については混同しないで下さい。請負契約は、「仕事の完成」を目的とするものであるから、請負人の仕事の完成は先履行になります。ただ、請負契約の目的物が引渡を要するものであるときには、この引渡と報酬支払いは同時履行になります。★ まとめ~請負契約における報酬支払時期
請負人の仕事の完成 ⇒ 先履行
↓
目的物の引渡し ⇒ 報酬支払いと同時履行