下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成5年 問15

【問 15】 不動産登記に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 登記は、当事者の申請又は官公署の嘱託がある場合でなければ、することができない。

2 氏名の変更による登記名義人の表示の変更の登記の申請は、登記名義人が単独ですることができる。

3 申請情報に仮登記の登記義務者の承諾を証する当該登記義務者が作成した情報を添付してする所有権移転請求権の仮登記の申請は、仮登記権利者及び仮登記義務者が共同してすることを要する。

4 登記権利者は、その者の所有権を確認する確定判決に基づき、売買による所有権移転の登記の申請を単独ですることができる。

【解答及び解説】

【問 15】 正解 2

1 誤り。表示の登記は、登記官が職権で行うこともできる。
*不動産登記法28条

2 正しい。権利に関する登記の申請は、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならないのが原則である(共同申請の原則、不動産登記法60条)。しかし、氏名の変更による登記名義人の表示の変更の登記は、登記義務者が存在しない場合であり、登記名義人が単独で申請することができる。
*不動産登記法64条1項

3 誤り。仮登記は、仮登記の登記義務者の承諾があるときは、当該仮登記の登記権利者が単独で申請することができる。仮登記の一時的・暫定的な性格より、簡易な手続が認められているのである。
*不動産登記法107条1項

4 誤り。登記を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が単独で申請することができる。要するに、判決に基づく登記は、単独申請でよいという規定ですが、この判決は「給付」判決に基づいて申請する場合を指し、「確認」判決に基づく場合は、登記権利者が単独で登記を申請することはできない。
*不動産登記法63条1項


【解法のテクニック】本問の肢4は難しいですね。普通の受験生は、判決に基づく登記は単独申請が認められていると覚えているはずですから、肢2と肢4が「正しい」ということになり、正解をどちらにすべきか、大いに迷ったのではないかと思います。こういうときは、どうするか! 古色蒼然とした方法ですが、「鉛筆を倒す」という方法でもいいですが、もう一度よく問題文を読んでみましょう。肢2は「氏名の変更は単独申請」というどの教科書にも書いてあるとおりの文章です。それに対して、肢4は、単に確定判決と書かれているのではなく、「その者の所有権を確認する」確定判決とあります。これが何を意味するか、おそらく分からないでしょうが(分からないからこそ、答えが2つになって困っている)、通常のテキストの書き方と異なっていることに気が付いて欲しいんです。2つのうちどちらを答えにするか迷ったとき、何かいつもと違う違和感を感じたら、その部分に「誤り」が潜んでいる可能性が、非常に強い。肢2はあまりヒネリがないけど、肢4にはいつもと違うちょっとしたヒネリが感じられる。そこで、「エイッ」と肢4を×にするんです。もう、分からないときは仕方がないから、「この部分がおかしい」とか具体的に考えられない場合もあると思いますが、「なんとなくこのあたりにちょっと違和感を感じる」程度でもいいんです。それが「誤り」である可能性が非常に強い。それでハラを括るしかありません。こういう問題で一番愚かな対応は、考えて、考えて、この1問に多くの時間を使うことです。分からない問題は、2分使おうが、5分使おうが、10分使おうが正解にたどり着く可能性は非常に低い。かけた時間に比例して正解率が上がるということはないんです。迷って時間を使うことによって、他の問題を解く時間がなくなり、そちらでケアレスミスをする方が怖い。試験は50問トータルで1点でも多くとる、という態度が重要です。