下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成5年 問2

【問 2】 Aの子BがAの代理人と偽って、Aの所有地についてCと売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 Aが売買契約を追認するまでの間は、Cは、Bの無権代理について悪意であっても、当該契約を取り消すことができる。

2 Aが売買契約を追認しないときは、Cは、Bの無権代理について善意であれば、過失の有無に関係なく、Bに対し履行の請求をすることができる。

3 Cは、Bの無権代理について善意無過失であれば、Aが売買契約を追認しても、当該契約を取り消すことができる。

4 Aが死亡してBがAを単独で相続した場合、Bは、Aが売買契約を追認していなくても、Cに対して当該土地を引き渡さなければならない。

【解答及び解説】

【問 2】 正解 2及び4

1 誤り。代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、善意の相手方が取り消すことができる。悪意の相手方は取り消すことはできない。
*民法115条

2 正しい。無権代理人の相手方は、本人の追認がなかったときは、自らの選択で、無権代理人に対して履行又は損害賠償の請求をすることができる。この無権代理人の責任は、相手方が善意無過失であれば追及できるが、相手方が善意有過失であれば、無権代理人が悪意のときだけ責任を追及できる。そして、本肢ではBは自ら代理人と偽っているので、自ら無権代理人であることについて「悪意」であるから、Cは過失の有無を問わず、Bに対して無権代理人の責任を追及することができる。
*民法117条

3 誤り。肢1で述べたように、代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、善意の相手方が取り消すことができる。相手方がいくら善意無過失であっても、本人が先に追認すれば、その追認が優先する。
*民法115条

4 正しい。本人が死亡し、無権代理人が本人の地位を単独で相続した場合、無権代理人が行った契約は、相続によって当然に有効になる(判例)。したがって、AはCに対して当該土地を引き渡さなければならない。
*民法113条


【法改正による変更】本問は、本来正解は肢4のみでしたが、令和2年の法改正により、肢2も正解となり、正解が2つになっています。