下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成4年 問49

【問 49】 監督処分及び罰則に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 宅地建物取引業者は、国土利用計画法の規定に違反して刑罰に処せられた場合、これに伴い、宅地建物取引業法の罰則の適用を受けることはないが、業務停止処分を受けることはある。

2 宅地建物取引業者は、事務所に置かなければならない専任の宅地建物取引士が退職して欠員を生じた場合、2週間以内に是正措置を講じないと、業務停止処分を受けることはあるが、罰則の適用を受けることはない。

3 宅地建物取引業者は、自己の名義をもって、他人に宅地建物取引業を営ませた場合、その他人が宅地建物取引業の免許を受けた者であっても、罰則の適用を受けることがある。

4 宅地建物取引業者でない者は、宅地建物取引業の免許を受けないで宅地建物取引業を営んだ場合はもとより、その旨の表示をした場合も、罰則の適用を受けることがある。

【解答及び解説】

【問 49】 正解 2

1 正しい。宅地建物取引業者が、「業務に関し他の法令に違反し、宅地建物取引業者として不適当であると認められるとき」は、業務停止処分を受けるが、罰則の適用はない。
*宅地建物取引業法65条2項1号の2、79条以下

2 誤り。宅地建物取引業者は、専任の宅地建物取引士に欠員を生じた場合には、2週間以内に是正措置を講じなければならず(宅建業法31条の3第3項)、この規定に違反した場合には、業務停止処分を受けることがあり、また100万円以下の罰金に処せられることがある。
*宅地建物取引業法65条2項2号、82条2号

3 正しい。宅地建物取引業者は、自己の名義をもつて、他人に宅地建物取引業を営ませてはならない(宅地建物取引業法13条1項)。この「他人」の中には、宅地建物取引業の免許を受けた者も含む(判例)。そして、この規定に違反した場合には、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科される。
*宅地建物取引業法79条3号

4 正しい。宅地建物取引業の免許を受けない者は、宅地建物取引業を営む旨の表示をしてはならない(宅地建物取引業法12条2項)。この規定に違反した場合は、100円以下の罰金に処する。
*宅地建物取引業法82条2号


【解法のポイント】監督処分及び罰則の問題は、宅建業法の中でも、おそらく最も対応が困難な範囲だと思います。合格する人でも、監督処分及び罰則をすべて覚えている人というのは、非常に、非常に、非常にまれだと思います。覚えていない問題が出れば諦めるしかないと思います。「これは!」という単純なコツというのはありませんが、今日のところは、一つだけ、宅地建物取引業者の監督処分で、指示処分は「すべての宅建業法違反」、業務停止処分は「ほとんどの宅建業法違反」が、該当事由にあたるという点です。宅地建物取引業法に違反した場合、どの条文に違反したとしても、最低指示処分の対象にはなります。また、業務停止処分は、一定の宅地建物取引業法の条文に違反する場合に課せられますが、この「一定の条文」というのを個別に覚えると大変なんですが、宅地建物取引業法の条文の重要なものは、この「一定の条文」の中に含まれています。したがって、ほとんどの条文に違反した場合は、業務停止処分になるので、違反しても業務停止処分にならない条文というのは非常にめずらしい。例えば、「広告開始時期の制限」、「供託所等に関する説明」は、違反しても業務停止処分にはなりませんが、これは大変めずらしい例です。