下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
宅建 過去問解説 平成4年 問39
【問 39】 宅地建物取引業者AがBの所有する宅地の売却の依頼を受け、Bと媒介契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Aは、媒介契約を締結したときは、遅滞なく、媒介契約の内容を記載した書面を作成して、Bに交付しなければならないが、この書面には、宅地建物取引士Cの記名押印が必要である。
2 BがAに支払う報酬については、売買契約が成立しないと確定しないから、媒介契約を締結する際には、報酬に関する事項を定めなくてもよい。
3 この媒介契約が専任媒介契約であるときは、その有効期間は3月を超えることができないが、有効期間が満了して、Bの更新拒絶の申出がないときは、媒介契約は更新されたものとみなされる。
4 この媒介契約が専属専任媒介契約であるときは、Aは、契約の相手方の探索については、国土交通大臣の指定する流通機構に当該宅地を登録することにより、行わなければならない。
【解答及び解説】
【問 39】 正解 4
1 誤り。宅地建物取引業者は、媒介契約を締結したときは、遅滞なく、一定の事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。この媒介契約書面に、宅地建物取引士の記名押印は不要である。
*宅地建物取引業法34条の2第1項
2 誤り。「報酬に関する事項」は媒介契約書の記載事項であり、媒介契約を締結する際には、報酬に関する事項を定めなければならない。
*宅地建物取引業法34条の2第1項6項
3 誤り。専任媒介契約の有効期間は3月を超えることはできない。そして、有効期間が満了すると、依頼者の申出により、更新することができる。したがって、依頼者からの申出がないのに、自動的に更新されたものとみなされることはない。
*宅地建物取引業法34条の2第3項・4項
4 正しい。宅地建物取引業者は、専属専任媒介契約を締結したときは、契約の相手方を探索するため、一定の事項を、国土交通大臣が指定する者(指定流通機構)に登録しなければならない。
*宅地建物取引業法34条の2第5項
【解法のポイント】肢1についてですが、宅地建物取引士の事務を正確に覚えている人には簡単な問題ですが、そもそも宅地建物取引士というのは、「重要事項の説明」でも分かりますように、「売買契約」等に係わる場面で登場します。本肢は、媒介「契約」に係わる場面ですが、媒介契約は、後に行う売買契約・交換契約・賃貸借契約等の前段階の宅地建物取引業者に依頼する場面の話です。そうではなくて、宅地建物取引士はその後に締結される売買契約等に係わる場面で登場します。この観点というのは、当たり前ですけど意外に重要です。例えば、専任の宅地建物取引士の設置義務のある案内所等ですが、あれは案内所等であれば、何でも専任の宅地建物取引士の設置が必要というわけではありませんでした。あくまで、これらの「契約を締結し、又はこれらの契約の申込みを受ける」案内所には、専任の宅地建物取引士が必要ということです。つまり、案内所でも売買契約等に係わる場合は、専任の宅地建物取引士を置きなさいということです。