下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
宅建 過去問解説 平成4年 問28
【問 28】 令和2年中に居住用財産を譲渡した場合の譲渡所得の課税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 令和2年1月1日における所有期間が10年以下の居住用財産の譲渡については、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除を控除した後の金額に、15パーセントの税率により、所得税が課税される。
2 令和2年1月1日における所有期間が10年を超える居住用財産の譲渡については、前年に既に居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の適用を受けているときであっても、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けることができる。
3 令和2年1月1日における所有期間が10年を超える居住用財産の収用事業等のための譲渡については、収用交換等の場合の5,000万円特別控除と居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の両方の適用を受けることができる。
4 令和2年1月1日における所有期間が10年を超える居住用財産の譲渡については、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除を控除した後の金額のうち4,000万円以下の部分は10パーセント、4,000万円を超える部分は15パーセントの税率により、所得税が課税される。
【解答及び解説】
★ まとめ~居住用財産の譲渡の場合の所得税の税率
5年以下の所有 … 30%
5年超、10年以下所有 … 15%
10年超所有 … 6,000万円超 …15%
6,000万円以下…10%
【問 28】 正解 2
1 誤り。まず本肢の「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」については、所有期間のいかんを問わず適用される。また、本肢は「10年以下の居住用財産の譲渡」ですから、「居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」の適用はありません。以上を前提に考えると、所有期間が5年以下の場合は、短期譲渡所得の税率が適用されるので、30%の税率になる。所有期間が5年超で10年以下の場合は、長期譲渡所得になり15%の税率になる。したがって、本肢の税率は30%の場合と15%の場合があるので、一律に15%としている本肢は誤りである。
*租税特別措置法31条1項、32条1項
2 正しい。所有期間が10年超の居住用財産を譲渡した場合には、「居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」の適用を受けることができるが、これは「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」と併用することができ、このことは前年に「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」を受けた場合でも同様である。なお、前年又は前々年に「居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」を受けていた場合には、「居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」を受けることはできない。
*租税特別措置法31条の3第1項
3 誤り。「収用交換等の場合の5,000万円特別控除」と「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」は選択適用になり、両方の適用を受けることはできない。
*租税特別措置法35条1項
4 誤り。「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」と「居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」は重複して適用することができるが、軽減税率の10%と15%の税率は、4,000万円ではなく、6,000万円を超えるかどうかで決まる。
*租税特別措置法31条の3第1項
【解法のポイント】本問は、譲渡所得の典型的な問題です。いつでも出題される可能性があるので、しっかり準備しておいて下さい。なお、肢1と肢4で譲渡所得の税率が聞かれていますので、まとめておきます。★ まとめ~居住用財産の譲渡の場合の所得税の税率
5年以下の所有 … 30%
5年超、10年以下所有 … 15%
10年超所有 … 6,000万円超 …15%
6,000万円以下…10%