下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成4年 問2

【問 2】 Aが未成年者Bに土地売却に関する代理権を与えたところ、Bは、Cにだまされて、善意無過失のDと売買契約を締結したが、Aは、Bがだまされたことを知らなかった。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。

1 Aは、Bが未成年者で、法定代理人の同意を得ないで契約を締結したことを理由に、当該契約を取り消すことができる。

2 Aは、自らがだまされたのではないから、契約を取り消すことができない。

3 Aは、BがCにだまされたことを知らなかったのであるから、契約を取り消すことができる。

4 CがBをだましたことについてDが善意無過失であるから、Aは、契約を取り消すことができない。

【解答及び解説】

【問 2】 正解 4

1 誤り。代理人は、行為能力者であることを要しない。したがって、未成年者が代理人として、法定代理人の同意を得ずに契約を締結しても、そのことを理由に契約を取り消すことはできない。
*民法102条

2 誤り。代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。そして、本肢ではBの意思表示が第三者の詐欺によるものであり、それについて相手方であるDが善意無過失である以上、Aは契約を取り消すことができない。したがって、本肢ではAがだまされたかどうかではなく、「相手方Dが善意無過失」であるからAは取り消すことはできない。
*民法96条2項、101条1項

3 誤り。肢2で述べたように、Aが詐欺の事実を知っていたかどうかではなく、Dが善意無過失であるから、Aは契約を取り消すことができない。
*民法96条2項、101条1項

4 正しい。肢2の解説参照。
*民法96条2項、101条1項


【解法のポイント】本問は、Aが契約を取り消すことができるかどうかという結論だけでなく、取り消すことができない理由として適切なものも含めて聞いているという点では珍しい問題です。