下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成3年 問50

【問 50】 甲県知事の登録を受けて、宅地建物取引業者Aの事務所aで専任の宅地建物取引士として従事しているBが違法行為をした場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 BがAに事務所a以外の事務所の専任の宅地建物取引士である旨の表示をすることを許し、Aがその旨の表示をしたときは、甲県知事は、Bに対し、2年間宅地建物取引士としてすべき事務を行うことを禁止することができる。

2 BがCにBの名義の使用を許し、CがBの名義を使用して宅地建物取引士である旨の表示をした場合において、その情状が特に重いときは、甲県知事は、Bの登録を消除しなければならない。

3 Bが甲県知事から事務の禁止の処分を受けたにもかかわらず、その期間内に宅地建物取引士として事務を行ったときは、甲県知事は、聴聞の手続をとることなく、Bの登録を消除することができる。

4 Bが不正の手段により甲県知事の登録を受けたときは、宅地建物取引業法に違反し、罰金の刑に処せられることがある。

【解答及び解説】

【問 50】 正解 2

1 誤り。「宅地建物取引業者に自己が専任の宅地建物取引士として従事している事務所以外の事務所の専任の宅地建物取引士である旨の表示をすることを許し、当該宅地建物取引業者がその旨の表示をしたとき」は、事務の禁止処分に処せられるという点は正しいが、事務禁止処分は1年以内の期間を定めて行うものであり、2年間の事務を禁止することはできない。
*宅地建物取引業法68条2項

2 正しい。「他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義を使用して宅地建物取引士である旨の表示をしたとき」で、その情状が特に重いときは、登録をした都道府県知事は、当該宅地建物取引士の登録を消除しなければならない。
*宅地建物取引業法68条の2第1項4号

3 誤り。宅地建物取引士が事務の禁止処分に違反したときは、都道府県知事は当該宅地建物取引士の登録を消除しなければならない。そして、宅地建物取引士に対して監督処分をするときは、原則として聴聞の手続をとらなければならず、Bの登録を消除するには、聴聞の手続をとらなければならない。
*宅地建物取引業法68条の2第1項4号、69条2項

4 誤り。宅地建物取引士が不正の手段により登録を受けたときは、登録は消除されるが(宅建業法68条の2第1項2号)、罰則の定めはない。この点、宅地建物取引業者が不正の手段により免許を受けたときには、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処せられることとの違いに注意。
*宅地建物取引業法79条参照


【解法のポイント】宅地建物取引業法の監督処分、罰則の問題はやりにくいですね。肢1は、そもそも事務禁止処分が1年以内ということさえ覚えおけば答えが出ます。ちなみに、宅地建物取引業者の業務停止処分も1年以内ですから、併せてこれくらいは覚えておいて下さい。肢2は「正しい」肢です。これも、この程度は代表的なものですから、覚えておいて欲しいところ。肢3は、宅地建物取引業者や宅地建物取引士に限らず、ある者に行政が不利益な処分をするときには、聴聞(言い分を聞く機会)を開くのが原則だということは押さえておいて下さい。そして、最後の肢4が、一番難しいのではないかと思います。確かに、不正の手段により登録を受けることは、一番よくないので罰則がありそうな感じがしますよね。しかし、これはなぜか罰則がありません。解説にも書いてあるように、宅地建物取引業者が不正の手段により免許を受けたときには、罰則がありますので、盲点になりそうなところです。したがって、また出題がありそうな気がしますので、これを機会に覚えておいて損はない知識だと思います。