下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成3年 問17

【問 17】 国土利用計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 注視区域内において、信託契約によって土地の所有権の移転を受けた受託者(信託銀行)が、信託財産である当該土地を売却する契約を締結した場合、国土利用計画法の届出(以下この間において「届出」という。)をする必要はない。

2 注視区域に所在する土地について、土地の売買を行おうとする者は、届出の日以後は契約を締結してもよく、当該届出の内容について勧告された場合は、勧告に従って契約を変更すれば足りる。

3 監視区域に所在する土地について売買契約を締結した者は、その土地が届出対象面積未満のものであっても、当該契約の対価、利用目的等について、都道府県知事から報告を求められることがある。

4 規制区域に所在する土地について、都道府県知事の許可を受けずに売買契約を締結した場合、刑罰を課されることはあるが、当該契約は効力を有する。

【解答及び解説】

【問 17】 正解 3

1 誤り。信託契約は、受託者に対する所有権の移転に対して対価を支払うわけではないので、国土法の届出を必要とする「土地売買等の契約」に該当しないが、受託者が信託契約に基づいて、信託財産である土地を売却する場合は、通常の売買契約であり国土法の届出を要する。
*国土利用計画法27条の4第1項

2 誤り。注視区域内に所在する土地について届出をした者は、その届出をした日から起算して6週間を経過する日までの間、その届出に係る土地売買等の契約を締結してはならない。ただし、勧告又は不勧告の通知を受けた場合は、この限りでない。
*国土利用計画法27条の4第3項

3 正しい。都道府県知事は、監視区域に所在する土地について土地売買等の契約を締結した者に対し、当該土地売買等の契約及び当該契約に係る土地の利用について報告を求めることができる。この報告が求められるのは、届出がなされたもの等は除かれているので、届出対象面積未満のものであっても、この報告が求められる。
*国土利用計画法27条の9

4 誤り。規制区域内に所在する土地について、都道府県知事の許可を受けずに土地売買等の契約を締結した場合、3年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処せられるだけでなく、当該契約自体が無効となる。
*国土利用計画法14条3項、46条


【解法のテクニック】肢4の土地売買等の契約の効力についてであるが、届出制と許可制で異なるので注意。もともと届出制は規制としては緩く、許可制は厳しい。したがって、届出制に違反しても、その契約自体は有効であるが、許可制に違反した場合は、その契約は無効となることが多い。例えば、国土法以外でも、農地法で無「許可」で契約を行うと無効になります。