下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成3年 問11

※本問の問題文及び解説は、令和2年の民法改正以前のものです。

【問 11】 AがBからBの所有地を買い受ける契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、Aがその善意悪意に関係なく契約を解除することができるものは、どれか。

1 その土地の一部が他人のものであって、BがAに権利を移転することができず、残りの土地だけではAが買うことができないとき。

2 その土地の全部が他人のものであって、BがAに権利を移転することができないとき。

3 その土地に隠れた瑕疵があり、契約の目的を達成することができないとき。

4 その売買が実測面積を表示し、単価を乗じて価格が定められている場合において、その面積が著しく不足していたとき。

【解答及び解説】

【問 11】 正解 2

1 解除できない。一部他人物売買の悪意の買主は、当該売買契約を解除することはできない。一部他人物売買で、悪意の買主が売主に責任を追及できるのは、代金減額請求の場合である。
*民法563条2項

2 解除できる。債務の全部の履行が不能であるときは、買主は、催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。これは、買主の善意・悪意を問わない。
*民法542条1項1号

3 解除できない。瑕疵担保責任の場合の悪意の買主は、売買契約を解除することはできない。
*民法570条

4 解除できない。数量指示売買において、その数量が不足するときは、悪意の買主は売買契約を解除することはできない。
*民法565条


【解法のポイント】この問題は、典型的な売主の担保責任の問題です。まあ、事前に出題が予想されるような問題ですよね。こういう問題は絶対に落とせません。ちなみに、前にこの覚え方はこのメルマガで書いたと思いますが、再度掲載しておきます。売主の担保責任の覚え方は、善意の買主は解除・損害賠償請求等をすることができますが、悪意の買主はできません。ただ、悪意の買主でも解除・損害賠償請求等をできる場合が以下の4つあります。1.全部他人物売買の解除、2.抵当権等の設定がなされている場合の解除、3.抵当権等の設定がなされている場合の損害賠償、4.一部他人物売買の代金減額請求