下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成3年 問9

【問 9】 AのBに対する貸金に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 AB間で利率について別段の定めがないときは、Aは、利息を請求することができない。

2 AB間で返済時期について別段の定めがないときは、Aは、相当の期間を定めて、返済を催告することができる。

3 AB間で返済場所について別段の定めがないときは、Bは、Aの住所で返済しなければならない。

4 Bが返済をしようとしても、Aが受取証書を交付しないときは、Bは、その交付がなされるまで、返済を拒むことができる。

【解答及び解説】

【問 9】 正解 1

1 誤り。消費貸借契約では、「利息」の定めをしていれば、「利率」に関する定めがなくても、法定利率分の利息を請求することができる。
*民法404条

2 正しい。当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、「相当の期間を定めて」返還の催告をすることができる。
*民法591条1項

3 正しい。弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡し以外の弁済は「債権者」の現在の住所においてしなければならない(持参債務の原則)。
*民法484条1項

4 正しい。弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる。そして、この受取証書の交付と弁済は同時履行の関係になる(民法533条、判例)。
*民法486条、533条


【解法のポイント】肢1が理解しにくいところではないかと思います。頭のなかで問題をはっきり2つに分けて考えて下さい。第一は、利息そのものを受ける取ることができるのかどうか、すなわち、無利息の消費貸借か利息付の消費貸借かどうか、という問題です。無利息の消費貸借なら、利率の問題は生じません。第二に、「利息が生じるとして」、その利率はどうなるかという問題です。実は、肢1はこの第二の点を問うています。民法上の消費貸借契約では、当事者が特約を定めなければ利息を請求することができません。すなわち、無利息が原則です。しかし、利息を支払うべき旨の特約があれば、利率を定めなくても民事法定利率である5%の利息は請求できるということです。